皇子の椅子
ハドリーの一人称を僕に変えました!
城の中はメイド達が慌ただしく動く。そして、ベッドの中でもぞもぞと動く小さな男の子。彼の名はハドリー・アストレイア。この帝国の第一皇子で、皇帝ハーロルト・アストレイアのただ一人の子供でもうすぐ一歳を迎えようとしている。
侍女達がカーテンを開け太陽の光がハドリーを照らす。その眩しさによりハドリーはゆっくりと目を覚ました。
「う.....」
まだ眠いから寝てたい。そう思い、布団を頭まで被り直した。しかしそれは直ぐにはがされる。
「殿下、殿下!起きてください。朝ですよ」
「うぅ……」
「起きてくださいませ」
そして布団を取られて、自分の体を温めるものが無くなった。僕は二度寝する事を諦め、体を起こした。すると同時に、メイドの一人が俺をベッドからおろし服をテキパキと着せていく。着替え終わったのかドレッサーの前に座らせれた。そして髪の毛を整えられいかにも皇族という格好に変わったのだ。その頃には眠気も覚めてしっかりと意識を取り戻せていた。
「さ、お着替え終わりですよ。お食事に向かいましょう。陛下も待って居られますよ」
「ん!」
ご飯!皇族に転生して頃高級な物を食べさせて貰ってるけど全然飽きない。きっとシェフの人が真心込めて作っているんだろう。そして数人の侍女達と護衛を連れて食堂に向かった。
「来たか」
侍女達が扉を開けると既に座っている一人の男性。見た目は大層麗しいが、雰囲気は酷く冷たい。あれが僕の父親だ。
「ちーうえ!」
僕はエリーに抱っこされていたが父の方に手を伸ばす。すると父に抱っこされ膝の上に乗せられた。
「今日も眠れたか?」
「ハドリー殿下の寝室には誰も来られませんでしたよ」
「それはいい事だな」
誰も来ないと言うのは皇妃達から送られてくる刺客の事だ。物騒な事だけど仕方がない。すると近くの椅子に連れて行かれ座らされた。そして料理を待つ。ここの食堂で食事をしているのは今の所僕と父しか居ない。皇妃達は自分の宮で食事をするそうだ。それで良かった、自分を殺そうとする人と食事なんかしたくないし。
「お待たせ致しました。朝食が準備出来ました」
侍女達が俺と父の前に食事を並べる。僕はまだ1歳前だから柔らかい物しか並んでない。スプーンを取りスープを口に運んだ。
「おいち!」
「当たり前だろ。城で雇ってるシェフは一流だからな」
まぁそうなんだけど。そして次に魚。これはさすがに一人で食べれないから侍女に食べさせて貰う。骨が入っていない柔らかい魚だ。これも美味しすぎる!父の方を見ると書類を手にしながらご飯を食べている。仕事かな。
「ハドリー、朝食が終わったら執務室に行くぞ。だから早く食べろ」
「んー?」
「畏まりました。殿下、あと少しですよ?食べちゃいましょう」
そして残りの一口を口に入れられ飲み込んだ。すると料理が下げられていく。それを見ていると父に抱っこされ、腕の中にすっぽり収まった。
「行くぞ」
食堂を出て、父は執務室に向かって歩き出した。執務室につくと父は椅子に座り机の上にオシャレな椅子が書かれている絵を見せてくる。
「ハドリー、これは皇子が座る椅子だ。どれがいい?お前は後少しで一歳だ。そして貴族達にお前が正式な第1皇子だと見せなければならないんだ。俺は馬鹿な貴族に顔を見せるなんていらないと思うが」
僕の誕生日?もうすぐなんだ。それに皇子の椅子にお披露目パーティーって。皇族ってのはこんな小さい頃からパーティーに参加するんだ。僕は机の上にある椅子の絵を見るとどれも宝石が散りばめられキラキラと輝いている。その中でも特に気に入ったのはブルーとホワイトの宝石が散りばめられている椅子。僕はそれに手を伸ばし父に見せた。
「これか?もっと派手なのは他にあるがこれでいいのか?」
「ん!ん!」
他に派手なのは沢山あるけど、宝石の良さが目立っているシンプルなのがいい。それを必死に目で語っているとその絵を父は手に取った。
「分かった。これをすぐに作らせる。ハドリーこれから忙しくなるぞ」
「うん!」
とりあえず返事しとこ!