散歩日和と新たな成長
翌日
天気は大変良く、雲ひとつない空。ざぁっと心地よい風が吹き、花や木を揺らす。
「ハドリー殿下、今日はとっても晴れておりますよ!」
「あうー!」
僕は今エリーにオムツを替えられ、服を着せられた。どれも高級な物で着心地はとってもいい。
「ハドリー」
「ごきげんよう、陛下」
皇太后にビンタされたその次の日から父と僕はずっと一緒にいる。過保護度がアップしたのだ。ほんとに父は何を考えているのかよく分からない。冷酷無情だって言われてるのに。
「陛下、今からお時間はありますか?」
「時間はある。公務も終わらせてきた。」
「そうですか、それは良かったです!今日は雪も降っててお天気もいいですし庭を散歩するのはどうでしょう?」
「散歩?そんなものこいつに必要か?」
「必要ですよ。赤ちゃんは自然に触れる事でより成長しますから」
「そうなのか?では庭に出よう」
どうやら散歩に行くらしい。やっぱり皇族だから庭も広いのかな?
父は侍女と護衛に指示をして庭に行く事を伝えた。すると、一斉に動きだし僕は外に行く用の服を着せられる。今は冬だから寒くないようにもふもふした服を着せられた。
そして僕は父に抱っこされて連れ出された。
「ここが庭だ」
「あうー!」
そこには雪が降り積もり、花や木がキラキラと輝いている。僕は降りたいと行動で示すと父は僕を下ろした。座ると雪が手や足につきひんやりする。でも僕は楽しかった。
「きゃっきゃっ!」
「楽しいのか?俺にこの良さは分からんが」
父は無表情で楽しんで無さそうだけど帰ろうとはせず僕のそばにずっといてくれた。
「んーんー!」
僕は向こうまで行きたくて手を伸ばした。すると足が動いて1歩前に出れたのだ。
(あれ?今ハイハイできた?)
僕は今度は左手を出して右足を動かした。すると前に1歩進めた。僕はゆっくり動き無事花が咲いてる所まで辿り着けたのだ。
僕は座って父の方向を見ると驚いた顔をして僕を見ていた。
「お前.......」
「あう?」
父は近づいてきてふっと笑った。
(あの冷酷で無表情の父が笑った?!今日は槍でも降るの?!)
「ハドリー、偉いぞ」
「あばぁ」
そして僕を褒めたのだ。産まれて8ヶ月。笑った所を見たこと無かったのに。絶対何か起きるでしょ。
「あまりここに居ると風邪をひくから戻るぞ」
僕は父に抱っこされ城に戻された。ここの庭が名残惜しいけど、大きくなったらまた来よう。
「殿下!ハイハイが出来るようになったんですね?陛下がおっしゃっていましたよ!」
父がエリーにハイハイ出来たことを言ったらしく、エリーは目に少し涙を浮かべて僕に話しかけてきてる。
「私めにも見せてくださいな!」
そういい僕を抱っこして床に下ろした。そして俺を期待の目で見つめている。周りの侍女達も僕を期待の目で見ている。
(これはやらなきゃいけない雰囲気)
僕は手を前に出し足を動かしエリーの元までハイハイした。するとエリーは口元をおさえ震えている。どうしたんだろ?
「殿下.....私感動です!殿下の成長を見られるなんて本当に私は幸せ者です......!ローズ様にも見させてあげたかったです」
そう言って僕を抱きしめた。ローズ様って僕の母の名前だ。仕えてたのかな?
エリーは泣き止むどころか酷くなっているから頭を撫でてあげた。そしたらまたら泣き出した。
(いやいつ泣き止むの?)
食事
「殿下、今日は殿下の好きな離乳食ですよ!」
そう言って口元に運ばれたのはかぼちゃ。俺はかぼちゃをこの世界で初めて食べた時ほっぺたが落ちるかと思った。
「はい、あーん」
「あー」
(はぁ美味しい!)
僕は思わずほっぺたを抑えてニコッと笑った。するとエリーも嬉しそうに笑った。
「まぁ殿下ったら!美味しいですか?」
「ちー!」
「あらあら」
僕は全部完食して、食事は終わった。次に温かいお風呂に入れてもらって肌にベビーパウダーなどをぬってもらう。
(前世では冷たいお風呂に入ってたし......こんなに恵まれてていいのかなぁ)
前世はもう関係ないと分かってても気になっちゃうんだよね。