産まれて3ヶ月
皇帝陛下.....父にあった感想は、無表情で冷酷そうだ。母が死んだとわかっても何も感じていないようだった。僕は乳母から父親に渡されハドリー・アストレイアと言う名前をつけられた。そして父は乳母を外に出し僕を抱いたまま公務に戻って行った
3ヶ月後
産まれてから3ヶ月経ち、分かってきた事が増えた。僕はアストレイア帝国の第一皇子に転生したようだ。皇帝である父の名前はハーロルト・アストレイア。同じハから始まる名前をつけられた。皇帝である父はまだ若く、23歳だそうだ。父は冷酷無情で例え子供や女でも容赦なく剣を振るう。しかし見た目は大層麗しかった。そのせいか父に宛てがわれた女性....つまり皇妃達は皇帝の寵愛を争い互いに刺客や毒を送り合っているんだと。でも僕の母は後宮の中でも穏やかな女性で、皇帝が子供を早くと言われて他の皇妃の所も通ったが1番多く通ったのは母だったそうだ。
父親曰く
「あの女は1番めんどくさくない女だった」
「あぶぅ」
まだ赤子の僕にそう言った。母の皇妃になる前の身分は低くもなく高くもない身分だったが売られるように後宮に入ったらしい。皇妃達は父が皇帝になって5年、ようやく産まれた第一皇子の僕が気に入らないらしく1度殺されかけた事もあったが父が助けてくれた。どうやら父には皇妃はいるが皇后はいない。本来は皇子を産んだ僕の母がなるはずだったけど死んでしまったから空席のままだ。
それはそうと僕はまだ赤子。故に泣くことしか出来ない。
「おぎゃぁヒックおぎゃぁ」
「あらあらハドリー殿下、お腹が空きましたか?」
僕は乳母兼専属メイドのエリーにミルクを与えられる。はじめは恥ずかしかったけど、体に意識が引っぱられていようで最近は慣れてきた。
「ゲップしましょうね?」
僕は縦に抱っこされ、背中を規則よくトントンと叩かれた。
「けぷッ」
「よく出来ましたよ、殿下!」
僕は高級そうなふわふわのベビーベッドに下ろされ寝かされた。僕はミルクを飲んでご機嫌になっていた。
「あうあう」
すると扉がバンっと大きな音を立てて開いた。そして高級なゆったりとした服を着た男が入ってきた。俺は大きな音に驚いてしまい涙が出てきた。
「皇帝陛下、ごきげんよう」
「ぎゃぁヒックうぅ」
「あぁ、殿下泣かないでください、お父様ですよ?」
泣かないでと言われても涙は止まらない。俺は大きな音が苦手なんだよ
「こいつは何故泣いている?」
「陛下、大きな音に驚いたようです」
「そんな事で泣いてるのか?」
泣いていると僕は父の腕に渡された。
「おい、泣くな。お前は俺の息子なのだからしっかりしろ」
「あぶヒックうぅ」
「はぁ」
ため息つかれたけど止まらないものは止まらない。涙でぼやけて父の顔が見えなくなってくる。
「子供と言うのはこんなに泣くものなのか?面倒だな」
「子どもは泣くのが仕事ですからね。陛下あやしてあげてくださいな」
エリーは父にあやし方を教える。すると、父は体を左右にゆっくり揺らしあやし始めた。
「泣くな」
「あう、ヒック」
僕は涙がひっこみ始め視界が見えるようになってきた。相変わらず父の顔は綺麗なものだ。
「泣き止んだな」
「陛下はあやすのがお上手ですね。ハドリー殿下も喜んでおられますよ」
「俺が?ふっ、この手で何人もの子供を殺したがな」
「それでも殿下の父親は陛下だけですよ」
僕は父の顔を見つめる。すると父も僕の顔を見つめてきた。とりあえず笑っとこ。
「きゃっきゃっ」
「.........。笑った」
「あらあら殿下ったら嬉しいんですか?」
「さっきまで泣いてたのにな」
僕は前世で父親の顔なんか見たこと無かった。だからいくら人を殺してようとも僕の顔を見に来るのはとてつもなく嬉しかった。
第2皇妃宮
一人の女が顔を真っ赤にしながら物に八つ当たりをしていた。
「陛下はいらっしゃらないの?!」
「それが......第一皇子様の所へいらっしゃるようです」
侍女が気まずそうに伝えた。すると第2皇妃.....ルビーはまたもや物に八つ当たりし始める。
「またよ!あの女が産んだ第一皇子!あいつさえいなげれば、私が陛下のお子を産んで皇后になっていたのに!」
「その通りですルビー様!貴方様は公爵家の令嬢で尊き身分ですのに!」
侍女達は声を上げてそう伝えた。
「あの第1皇妃もよ!皇太后の姪だからって調子に乗って!!」
ルビーの怒りは収まらない。こうなった彼女は誰も止められないのだ。侍女達はこうなった原因の第一皇子とローズを憎みながら夜を過ごした。