皇子の誕生と
皇子が産まれた頃、皇帝は執務室で公務をしていた。するとドタバタと音を立てて部屋に入ってきた。
「皇帝陛下ーー!!!皇子です!皇子がお産まれになりました!!」
皇帝はその言葉を聞き、皇妃の1人ローズが懐妊してたのを思い出した。
「皇子か、皇妃はどうした?」
「それが......出血が多くそのまま.......」
その言葉を聞き皇帝は察した。
ーーあの女は後宮の中で1番皇后に向いていたのにな
「子を連れてこい」
「は、はい!畏まりました!」
扉の音がなり、乳母の声が聞こえた。
「皇帝陛下、失礼致します」
「入れ」
乳母の手には毛布でくるまれた小さな生き物。乳母は毛布をずらして顔を見せた。
俺と同じく黒い髪に、あの女の瞳。顔立ちは俺にそっくりだ。
俺は乳母から赤子を取り、腕に抱いた。すると目を開けて俺を見つめ、ふにゃりと笑った。
「.........お前の名前はハドリーだ。ハドリー・アストレイア。乳母、分かったか」
「はい。畏まりました」
「今日は下がれ」
「失礼致します」
乳母が出ていくと、俺はハドリーを抱きながら公務に戻った。
後宮
いくつもある宮の中ではそれぞれの皇妃達が怒りを露わにしていた。
「皇子ですって?!あの女は死んだのになんで皇子なのよ!!」
「皇妃様っ!落ち着いてください!」
「煩いわ!私に命令しないで!」
「第1皇妃の妾を差し置いて懐妊するだけではなく男子を産むとはのう!陛下はあの女のどこが良かったのか!!」
「大丈夫ですよ、私は優秀ですからあんな女の息子より優秀な皇子を産みます。陛下はいつお渡りしてくださるのかしら?子種を頂ければ直ぐに懐妊するのに」
皇妃達は皇子が産まれた事に焦った。しかしこんな所で諦めたりはしない。自分の子供を皇帝にするためにどんな事でもする女達だ。