駄目だこりゃ
駄目だ。
狩りにならない。
地面に寝そべりながらそんな事を考える。
どうやら昨晩のエロい双子が俺の事を他の冒険者に話してしまったようで、いつもの狩場に人が溢れていた。
まあ溢れているってのは大げさだが、普段は全く人影を見かけない夜の湿地にちらほらと人影が写る。
倒れている俺に無情にも斧が振り下ろされ、俺の頭が転がり落ちた。
「おっしゃあ!レベルアップ!!」
俺のすぐ横で、髭マッチョの親父が斧を振り上げて雄叫びを上げている。
だがあんたのレベルアップはここまでだ。
誰がリポップしてやるものか。
可愛い女の子ならともかく、キモイおっさんに経験値をくれてやる趣味はない。
ほとぼりが冷めるまでリポップは控えるとしよう。
とはいえ、この状態でいられるのは72時間が限界だったりする。
それ以上時間がたつと、強制的にその場でリポップさせられてしまう。
完全に嵐が去るのを待つのは無理そうだ。
潮時か……
良い狩場だったんだけどなぁ……
ユニークスキル持ちは、一旦広がると延々粘着されるのが目に見えている。
此処に留まったのでは冒険者達の良い餌になり続けるだけだ。
仕方がないので、人のいなくなるタイミングを見計らってここを離れるとしよう。
しかし右も左も分からないこの世界で、次の当てなど当然なかった。
乳神様が出てきて俺に良い狩場教えてくんないかな?
そんな淡い希望を抱いて、俺は眠りに就いた。