護衛
「しかしお前達は強いな」
「いや、王女様も大したものだったよ」
聖王女にため口で返すと、アッシュの目つきが少し険しくなる。
敬語を使えと言う事なのだろうが、俺は別にこの国の国民でもなければ配下でもない。
なので気づかないふりしてその非難気な視線を無視した。
「これでも聖王国一を自負していたのだが。世の中上には上がいる物だ」
これは俺だけではなく、ポーチにも向けられた言葉だ。
俺の後に、彼女も聖王女と一勝負していた。
当然勝敗はポーチに軍配が上がっている。
だが勝敗は兎も角、実際問題聖王女の実力は大したものだった。
幻術系のスキル無しとはいえ、ポーチ相手に彼女は善戦して見せたのだ。
弱めの最上級モンスター相手なら、1対1でも余裕で戦えるぐらいの実力はあるだろう。
その強さは、誇張抜きで聖王国一と言って差しさわり無いと思える。
ひょっとしたら、人類一まであり得るかも。
正に女傑と呼べる人物だ。
おっぱいも大きいし。
「さて、お前達は哭死鳥に狙われている訳だが。出来れば囮を務めて貰いたい」
「ああ、構わないぜ」
こっちとしては、哭死鳥を黙らせられればそれでいい。
国が動いてくれた方がその辺りはスムーズに進むだろう。
断る理由はなかった。
「それに当たって、私の配下2名を君達の護衛に付けよう。まあお前達に護衛が必要かは疑問だが、念の為だ」
王女がチラリとアッシュを見る。
二人ってのはたぶんグレイス兄妹の事だろう。
「お前達には二人と組んで、冒険者として危険なクエストを受け続けて貰う」
「分かった」
ホームとはいえ。
いやホームだからこそ、哭死鳥は街中で堂々とは動けない。
強盗するのに家の近所を狙わないのと同じ理屈だ。
相手が動き辛いというのなら、あえて人目のない危険な場所に向かう事で動きやすくしてやる。
そう言う作戦だ。
勿論そんな事をすれば囮のリスクはかなり高くなってしまうが、俺とポーチ。
後オマケのモヒカン兄妹ならどうにでもできるという、聖王女の判断だろう。
実際俺一人いれば相手が何人いようと敵ではないので、基準は兎も角、その判断自体は正しいと言える。
「本来なら外部の人間を危険に巻き込む事など避けたいのだが、この国は腐っているのでな。お前達の力添え、感謝する」
そう言うと彼女は頭を下げた。
良い角度だ。
胸元のラインがそれ程深くはないのでぽっちこそ見えないが、運動後の桜色に染まった胸元は素晴らしい。
しかし、腐っている……か。
まあ賄賂であっさり入国できた辺り、そういう事なのだろう。
ダリアとの不仲もその辺りが関係していそうだ。
「では、私は所用があるのでこれで失礼させて貰う。後の事はアッシュに聞いてくれ」
そう言うと聖王女は、俺達が入って来た方向とは真逆へと去って行く。
彼女の気配が遠ざかり姿なき護衛達の殺気も消える。
「おいおい、勘弁してくれよ。冷や汗ものだぜ、全く」
戦闘後、明らかに護衛達の殺気が俺に向けられていた。
どうやら溜口が気に入らなかった様だ。
まあ俺はそんな物、気にも止めはしないが。
「陰でこそこそ隠れてる様な奴らの事なんざ、一々気にするかよ」
「いくら何でも肝が据わりすぎだろ?」
残念。
肝が据わっているのではなく、俺の場合は肝が腐っているが正解だ。
半分ゾンビだしな。
「お前さんの実力は認める。けど流石に聖王女の親衛隊相手じゃ、分が悪いぜ。長生きしたいんなら、もう少し謙虚に生きた方が良いぞ」
護衛の気配は全部で12だった。
仮にもし全員王女並みの実力があったとしても、俺の敵では無いだろう。
どうやら人間であるアッシュにはそれが分からない様だ。
そもそも謙虚に生きるも何も、俺は半分死んでいるのだ。
今更謙虚も糞もあった物ではない。
好きに生きさせて貰う。
おっぱい最高!




