表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゾンビスタート→ハーレムエンド  作者: まんじ(榊与一)
ハーレム目指して本格始動

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

63/130

むっつりスケベ

「まさか聖都(ここ)まで乗り込んで来るとは。舐められたものだ」


「余程腕に自信が覚えがあるんでしょうな」


まだ昼間だというのに、部屋の中は薄暗かった。

窓にはカーテンがきっちりと駆けられており、その光源は部屋の奥にある、机の上の球体のみだった。


それは人間の頭部大の水晶であり、その中にはある男女の姿が映し出されている。

そして二つの人影がそれを覗き込んでいた。


「とてもそうは見えんが……」


水晶に移る男は顔をだらしなく崩し、目の前にいる制服の女性――何らかの受付業務に携わっていると思われる――のふくよかな胸を欲望丸出しで舐めるように眺めていた。


明かに知能は低そうだ。


「ですが……拠点を潰し、襲撃を跳ね返している訳ですからのう。何でしたら、私の呪術で始末致しましょうか?ぼっちゃん」


黒いローブを身に纏い、腰を90度近くまで曲げた人影――老婆がにたりと笑う。

顔は鷲鼻が目立ち、ところどころにイボが散らかってとても醜い。

良く物語などで出て来る悪い魔女が実在したなら、きっとこんな見た目なのだろう。


「坊ちゃんは止めろ。俺は家を出た身だ。それに手助けはいらん。始末は自分で着ける」


老婆の言葉に、坊ちゃん――まるで女性と見まごうばかりの美貌を持つ、金髪碧眼の青年――と呼ばれた男は苦々し気に応えた。


そうでなくとも、彼は今回の1件で対象の特定に実家の手を借りているしまっている。

プライドの高い彼にとって、これ以上の借りを作る事は許容できる事では無かった。


「左様ですか」


「お前はもう帰れ」


「おやおや。利用するだけ利用して、用が無くなったらポイですか。婆や婆やと良く泣きついて来た、ベーニュ坊ちゃまも立派に成長されたものですな」


老婆は嬉しそうに相好(そうごう)を崩し、うんうんと頷いた。

醜悪な顔つきではあるが、そこに悪意は感じられない。


純粋に美青年――ベーニュの成長を喜んでいる様だった。


「く……それはもう百年以上前の話だろう」


「私にとっては、まるで昨日の事の様に感じられますわい。ふぇっふぇっふぇ」


老婆は机の上に置いてある大振りの水晶を、筋張った細腕で容易く持ち上げ軽々と懐にしまいこむ。

枯れ木の様な吹けば飛ぶ老人の風体をしてはいるが、見かけとは違い壮健の様だ


「まあ帰れと言われましても、暫くは御厄介させて貰いますよ。そう大旦那さまから命じられてますかな」


「ちっ……」


老婆は目を細め、舌打ちをするベーニュを愛おし気に見つめる。

その眼差しは間違いなく、我が子を愛おしむ母親の様に優しい物だ。


だが逆にそれがベーニュをイラつかせてしまう。

彼はぷいと老婆から視線を外し、さっさと出て行けと言わんばかりに「しっしっ」と手首を振る。


それを見て老婆は更に嬉しそうに顔を歪めるが、流石にこれ以上虐めて機嫌を損ねると本気で嫌われかねないと思い、彼女は部屋を後にした――いや、後にしようとして、ドアノブを掴んだところで振り返る。


「ああ、そうそう。坊ちゃまもそろそろ、眷属を持たれては如何ですかな?」


「何だ、唐突に?」


「あの男の連れ、銀髪の女性は早々お目にかかれぬ美貌の持ち主。只殺すには惜しいと思いましてな」


老婆は気づいていた。

水晶に移った女の姿に、ベーニュが見惚れていたのを。


「腕もかなり立つようですし。折角ですので、この際お手を付けられては如何ですかな?」


ベーニュは女性に甘やかされて育ってきたせいか、異性に対するアプローチが消極的だと老婆は考えていた。

独り立ちするなら、女性を自分から強引に手に入れられる位でないと話にならない。


「ふ、ふん。考えておく」


「では……」


ベーニュの可愛らしい反応に頬を崩し、老婆は今度こそ部屋を後にする。


「眷属か……」


真っ暗な部屋でベーニュは一人呟く。

一目見た時から銀髪の女性――ポーチを手に入れたいと彼は考えていた。

だが只美しいからという理由で手に入れたのでは、周りから下世話に勘繰られてしまう。


プライドの高い彼はそれが嫌だった。

そしてこれまで眷属を取る事を避けて来たのも、そう言った側面からであった。


「まあだが……婆やが強く勧めるのなら仕方ないな」


世話になっている相手の勧めを無碍に断る訳にはいかない。

そう、これは婆やの頼みだから――そう心の中で言い訳し、ベーニュは暗闇の中でにたりと美しい口元を歪める。


その微笑みは――間違いなくむっつりスケベのアレだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ