英乳
「乳神様!英乳をお授け下さい!」
「は?」
――英乳とは、英知とええ乳を融合させたハイブリッドである。
乳神様の乳を堪能しつつ、聖王国に穏便に潜入するお知恵を拝借しようと俺が生み出した奇跡の言葉だ!
「はいはい。幼稚園児並みの言葉遊びの説明とか、いらないから」
幼稚園児並み。
それは俺が純粋であると受け取るとしよう。
「相変わらずポジティブねぇ」
乳神様が溜乳を吐く。
因みに溜乳とは、巨乳の揺れから溜息を吐いた事を察する時に使う言葉だ。
「そんな情報入らないわよ。全く役に立たないし」
「そうですか。残念です」
まあそんな事はどうでもいい。
今重要なのは、どうすれば聖王国にすんなり入国できるかだ。
その為の乳ペディア。
「全力でぶっ飛ばしてあげたい所だけど……こっちも魔王討伐を頼んでる身だから、その暴言は見逃してあげるわ」
魔王討伐?
ああ、そう言えばあったな。
そんな話も。
「あんたが頑張ってハーレムを作っても、魔王に滅ぼされたら意味がない事ぐらいは覚えておきなさいよ。ていうか、その為にレベル上げしてるんでしょ?」
魔王がどれ程強くとも、無限リポップできる俺に敗北はない。
今レベルを上げているのは、純粋に変異する為だけだ。
決して魔王を倒すためなどではなかった。
「言っておくけど、魔王に殺されたらリポップ出来ないから。その時はゲームオーバーよ」
「え!?」
「魔王もあんたと同じユニークスキル。リポップ持ちだからよ」
言ってる意味が分からない?
何故魔王がリポップ持ちだと、俺がリポップできない事になるんだ?
道理が全く通っていない。
「同じユニークスキルは干渉し合うのよ。だから魔王はあんたを殺せるし。逆もしかり。唯一魔王倒せるあんただからこそ、私は魔王討伐を頼んだのよ」
マジか!
魔王なんて目じゃないぜとか思ってたけど、まさかそんな落とし穴が用意されていようとは……
オワタ……
「何勝手に諦めてんのよ」
「リポップできないんじゃ、勝ち目なんてありませんよ!」
こちとらリポップ無しじゃ、ドラゴンにすら敵わない身だ。
更に上を行く魔王に等、勝てる分けがない。
俺のハーレムウハウハ計画が……
オワタ……
オワタ……
「馬鹿ねぇ。仮にも私は女神よ。出来もしない事を、あんたに頼む訳ないでしょ。安心しなさい。その為のカオスよ」
「勝ちの目はあるって事ですか?」
「そうね。最低でもレベル80。出来れば90近くが理想ね。そこまで上げれば、カオスの能力なら十分に勝てる筈よ」
90か。
現在のレベルは61だ。
果たしてレベル上げが間に合うだろうか。
「因みに魔王復活はいつ頃なんですか?」
リポップで勝てる前提だったためまったく気にしていなかったが、レベルを上げて自力で勝つ必要が出て来た以上、それは絶対に知っておかなければならない情報へと変わる。
「どんなに遅くても、後100年以内には復活する筈よ」
なんだ、100年もあるのか。
流石にそれぐらい時間的余裕があるなら、90位楽勝だろう。
寧ろ変異した上で、インキュバスのカンストすら狙えるんじゃなかろうか?
「話はちゃんと聞きなさい、“100年以内”よ。早ければ来年だって事もあり得るわ」
「えぇ……」
1~100年の間って……推定雑過ぎない?
つうか、もし来年復活だと90とか絶対無理だぞ。
80ですら怪しい。
「魔王の封印は時間や空間から完全に途絶されてるから、女神である私にも正確な状態が分からないのよ。ただ、封印はもって100年なのは間違いないわ。頑張って頂戴」
頑張れと言われても、世の中どうしようも無い事はままある。
仮にどれ程に努力しても、来年辺りに復活されたら完全にお手上げだ。
それに対応しろというのは、結構な無茶ぶりと言ってもいいだろう。
「別に負けて世界が滅ぼされたからって、あんたを責める気は無いわ。本来なら、あの世界は確実に滅びる運命だったんだから。まあ個人的には、頑張って倒して欲しいとは思っているけど……あんたにかつかつの生活を無理強いする気は無いわよ」
乳神様は、「ふぅ」と小さく溜乳を吐く。
そして優しく俺に言い聞かせる。
「異世界での生活を楽しみなさい。その上で救いたいと感じたなら、頑張ってくれればいいわ。その辺りの匙加減は、あなたが自分で選んで頂戴」
救うために狂ったように努力するか。
滅びるその日まで異世界を楽しみながら生きるか……か。
狂った様に努力するのが、正解には限りなく近い筈。
だが復活が直近だと、その努力は無駄になってしまうだろう。
間違いなく。
楽しみを捨てて必死に頑張った挙句、滅ぼされたので目も当てられない。
せめて3年程の確約があれば、必死に頑張るのもありだろうが。
現状では余りにも運任せ過ぎる。
……まあ程々に楽しみつつ、その上でレベル上げも頑張るとしよう。
救えたらラッキー程度のスタンスだ。
「それでいいわ」
何とも中途半端な決断ではあるが、乳神様の声は優しく、俺を責める様な刺々しさは一切感じられなった。
ひょっとしたら、初めっから俺にはあまり期待していないのかもしれない。
「流石に、スケベ魔人のあんたに多くを期待する程私も馬鹿じゃないからね」
スケベの一念、岩をも通すという言葉を知らないのだろうか?
「無いわよ。そんな言葉」
今俺が作りました。
素敵だと思いません?
「全然」
相変わらず冷たい反応だ。
まあ胸が大きいから気にしないけどね。
「ま、程々には期待してるから。頑張ってね」
乳神様がそう言うと、俺の意識は闇の中に吸い込まれていく。
乳神様。
聖王国に入る為の方策をまだ聞いてないんですけども?
言いたい事だけ言って追い返すとか、全く困った神様だ。
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