変異を求めて
カオス。
それは乳神様が用意してくれた俺専用のユニーククラス。
神が態々用意してくれただけあって、最上級職の中でも頭一つ抜けた強さを持っている様だ。
基本的に上位のアンデッドは戦闘能力が高い傾向にある。
但しその分弱点も多い。
ヴァンパイヤの持つ、強烈な光弱点なんかがいい例だろう。
つまりアンデッド系のその強さは、制限ありきでバランスが取られているという事だ。
しかしこのカオスというユニーククラスには、弱点らしい弱点も無く。
更に上位アンデッド特有の強力な能力まで有していた。
つまり滅茶苦茶強いのだ。
流石乳神様の考えた“私の考えた最強クラス”だけはある。
弱点があるとすれば、それまでにはなかった痛みがそれにあたるだろう。
どうも種族が死者と生者の中間扱いらしく。
そのお陰で各種弱点が消え、代わりに痛覚は発生してしまっている――それでも通常の生者に比べれば大分ましな方だが――様だ。
お陰でこっちは貴重なスキルポイントを消費して、取る予定の無かった痛覚鈍化を取る羽目になってしまった。
「ま、強いからいいけどね」
冗談抜きでカオスは本気で強かった。
ちょっと試しにベア子とポチ相手に軽く手合わせした所、2体同時相手でも俺が勝ってしまうぐらいに。
まあポチとベア子は獣系の最上級職だから、そこまで戦闘特化したクラスではないというのもあるが――獣系はどちらかというと探索といった特殊な能力に優れている。
それでもこの強さは破格だ。
草原を歩いていると、俺達の姿を見つけた魔物が凄い勢いで逃げていく。
ごつい最上級職が3体も並んで歩いて居れば当然の反応だろう。
当然逃げていくのは魔物だけでは無く、人間も同じだ。
アンデッド系よりかは匂いやヴィジュアルがましになったとは言え、この状態じゃいくら強くてもガールフレンドなど出来ようはずもない。
やはりモテモテ計画には変異が必要不可欠だ。
「ワオ!」
「ポチが城を見つけたそうだべ」
ポチの吠えた方に視線をやるが、特に建物は見当たらない。
とは言え、ポチが嘘を吐くとも思えないのできっと鋭い嗅覚で匂いを嗅ぎつけたのだろう。
俺達は今、乳神様から貰った情報を元にある城を目指していた。
そこの地下にあるお宝を手に入れる為だ。
狙うは亜人の心。
これはポチやベア子を亜人種に変異させるのに必要なアイテムで、それがこの先にある城の中にあるらそうだ。
遂に……遂に初のガールフレンドが見えてきた!
まあ俺用の悪魔の血を入手する為に最上級クラスの2匹の力は必要不可欠だから、変異はまだ先になるのだが。
それでももうひと踏ん張りだと考えると、小躍りしたくなる。
というか小躍りした。
「何やってるべか?」
「気にするな」
俺はテンションMAXで城を目指す。




