殴り合ったらそれはもうダチ公
決着は意外な形で終わる。
クロスカウンターによるダブルK,O。
なんで熊と犬が立ち上がってパンチしてるんだという疑問はさておき。
2人の拳(肉球?)が交差し、お互いの顔面を綺麗に捉える。
その衝撃で二匹とも盛大に吹っ飛んで、先程からピクリとも動かない。
俺は恐る恐るワイルドベアーへと近づいた。
死んだかな?
うん、死んでない。
近づくとワイルドベアーの瞼が開き、ぎょろりと此方を睨みつける。
当然次の瞬間ワイルドスイングが飛んで来て俺は即死した。
死んだふりとか卑怯な奴だ。
そのままのそりとワイルドベアーが起き上がる。
このままではポチがやられてしまう。
そう一瞬思ったが、ポチの方も何事も無くごろりと転がって起き上がったので、ほっと胸を撫で下ろした。
ポチの方も死んだふり、もしくは衝撃でちょっと気絶していただけの様だ。
しかし本当にタフな二匹だ。
勝負の行方がまるで読めない。
獣なのにお互い後ろ足の2足だけでのしのしと間合いを詰める。
さあ、第二ラウンドの開始だ。
徐にポチが左手を前に出す。
相手との間合いをその手で測っているのだろうか?
これに対してワイルドベアも左手を伸ばす。
そして二匹の左手が交差した。
次の瞬間――お互いの肉球を押し付け、手と手が握り合わさる。
その様はまるで……そう、まるで握手の様だった。
……いや冗談抜きで握手だ、これ。
ポチとワイルドベアーはその場から動かず、お互い口の端を歪めて笑う。
なにこれ?
どうなってんの?
「オメェさやるだなぁ。うちこんな強い奴初めてだっぺ」
俺が混乱していると、ワイルドベアが口を開く。
その言葉は随分と訛っていた。
……ってこいつ喋れるのかよ!?
いや、熊が喋れるわけがない。
ひょっとして殺され続けたショックで俺が動物の言葉を理解できるようになったのかと思い、ステータスを確認する。が、動物の言葉が分かるスキルなど当然一覧にはない。
「ワウワウ!」
ベアの言葉に答える様、ポチが吠えた。
うん、わからん。
どうやら動物の言葉を理解できる様になった訳ではない様だ。
となると考えられるのは……ユニークスキルか。
どうやらこの熊は、言語系のユニークスキルを所持している様だ。
「いやいや、そっちこそすごかったっぺぇ」
しかし凄い訛りだ。
後、声からして雌っぽい。
でもちょっとだみ声だし、訛ってるだしで、擬人化しても全然可愛くはなさそうだ。
「わおおーーん」
「え!?一緒にだべか?」
「わわお」
「んん?通訳?こんな腐れと何を話すっつーんべか」
ワイルドベアが汚いものを見るような眼で、此方を見てくる。
いやまあゾンビだから確かに汚いんだけども……
「別に一緒でもいいがやが、あれと一緒っつーのはなぁ」
「わうわう」
「へぇ。こんな見た目してくさってるのに、美味いんだべか。ゾンビは見た目に寄らねぇな。まあ、非常食って考えれば我慢できなくもないかぁ」
誰が非常食だ。
誰が。
てかポチにとって俺は美味しいのか。
そいつはゾンビ冥利に尽きるってもんだ。
いやいや喜んでいる場合じゃない。
何で一緒に行動する交渉なんか勝手にやってるんだ?
ポチは。
俺は嫌だぞ。
こんな乱暴なブス熊は。
「よし分かったべ!おらも付いて行くべ!これから宜しくな!」
「良くねぇよ!どっかいぶべらっぷ」
苦情を言うべくリポップしたら。
言い終わる前に鉄拳制裁が飛んできた。
美人ならともかく、ブスにされる暴力程不快な物はない。
「餌がなま言ってんでね!おめぇは黙って付いてくればいいだよ」
「わう!」
くっそー、覚えてろよ。
レベルを上げて絶対ギャヒンギャヒン泣かせてやるからな!
こうして俺に新たな仲間と新たな目標が出来る。
ハーレムの道は1日にしてならず。
俺はこの試練を乗り越え、必ずやハーレムキングになって見せるぜ。




