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1・そこかしこにそれはいる。

 少し早起きして朝市の買い物からの帰り道。


 はた……と目が合う。

 瞬間に分かってしまう。


 そして。


(あ。この人帰還者さん)


 と、相手も気付いた様で、軽く会釈する。

 なんとなく、こそばゆい。


 帰還者同士、基本ルールがある。


 声を掛けても深く訪ねない。

 或いは、さっきの様に軽く会釈する程度。

 まぁ、後者が一番差し障りなくて都合がいい事が多いので、大抵の人はそんな感じ。 


 そりゃね、いい思い出の人や成功して満足する人がいる反面、どこか痞えたままの人もいれば辛い思い出の人もいるわけで。

 だから、後者の人のために気を遣っている感じ。

 それに、大体分かるんだよね。

 この人は成功したんだなとか辛かったんだなとか、なんていうか漂う空気なんとなく分かっちゃう。


 とはいえ、例外はある。


 専用掲示板みたいなのがあって、匿名である事を絶対条件に色々相談することが出来るんだよ。

 多目的に使われるので、軽いものから重いものまでさまざまな会話が飛び交い賑わっている。

 ちなみに、何故か帰還者さんにしか発見できない特殊な掲示板だけどね!


 そして、リアルに同類から直接相談を受けた場合。


 あの時、どんな風にしたら良かったのか。

 あの時、どんな別れ方をしたら良かったのか。

 とか色々。


 決して成功者から声を掛ける事はない。


 気休めでたらればだけど、そういう話をして聞いてくれてそれだけで気が楽になる人もいるのも確かなのだから。

 より一層落ち込む人もいるけどね。

 その人の性格にもよるから仕方ない。


 で、一体何の話かと言えば。


 本当にもう、そこかしこに存在しているという話。

 異世界経験者・通称「帰還者」さんが!

 そこかしこというのは大げさかもしれないけど、確かにいるんですよ。

 それにしても、今日はやけに出会う確率が高いけど、どうしてだろう。いつもは多くて一日に二・三人くらいなんだよね。


 そんなバカな……。


 と、思うかもしれないけど、そんなバカな話があったりするんだ、これが。


 ちなみに私は……。


 寄り道してなんとなーくぽやーっと遠回りして帰る途中、角を曲がったら一瞬白い靄に包まれたかと思ったら目前に現れたのは見知らぬ森でした。

 ってパターンの転移組です。


 いやぁ、まさか戻って来れるとは思ってなかったからむしろ驚いちゃってるよ……。

 アハハハハ……。


 他にも、召喚組と転生組もいらっしゃいますよ。


 事故った(事故りかけた)系・寿命系、ゲーム系、穴落ち系、歪み系、狭間系etc。

 私の場合は狭間系。

 歪みと狭間の違いって何だろって思ってたけど、掲示板のお陰で理解した。


 歪みは、時空(次元)と時空が混ざり合ったか、隣り合って影響しあって空間が歪んだ状態で世界を渡ってしまう事。

 狭間は、時空が引き合っているにも関わらず、混ざりあわずに時空と時空の間に隙間がある状態で隙間に足を踏み入れて世界を渡ってしまう事。


 白い靄に包まれてって言ったでしょ?

 あれが狭間に当たる部分らしい。

 人によったら黒と白のもやもやがうねってたり、ただの空間みたいなとこでふわふわ足が浮いてたりとか、ピカっと光ったり、色々みたいだけど。

 時間的にも長い間彷徨うか、私みたいに一瞬で通り抜けるかの違いもあるっぽい。


 ラノベにありがちなあるある定番はさることながら、他にも、寝て起きたらとか、料理してたら湯気が全身包んでとか、えー……ってパターンもあるらしく……。

 その場合は大抵召喚組みたいだけど。

 寿命系以外は、どの異世界経験者にも共通してあるみたい。


 まぁ、そんなわけで、思いの外帰還者さんがいるわけです。


 転生組が戻って来れている謎……。と思っているそこのあなた。

 正確には、魂が帰還したって感じです。

 ここら辺も後で触れるとして。


 そんなわけで順番に解説していくとしましょうか。

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