くるみ割り人形 あなたが知らない本当の「くるみ割り人形」というメルヘンの真実。 そして、映画化版 2009年版 2015年版 2018年版 の、極私的な映画レビュー
第一部 くるみ割り人形 あなたが知らない本当の「くるみ割り人形」というメルヘンの真実。
「くるみ割り人形」ナッツ・クラッカー
誰でも、みんなが知ってますよね?
あのバレーですよ。チャイコフスキーのね?
クリスマスの時期になると
欧米では必ずこれが上演されます。
いわばクリスマスの「定番演目」?ですよね。
少女のクララが胡桃割人形を助けてネズミをやっつけて
お礼に人形の国で楽しく過ごして、、、
翌朝、
眼をさますと、、何だ夢だったのか、、というストーリーですよね?
え?でもね。
実は原作は
くるみ割り人形とねずみの王様 Nußknacker und Mausekönig
ヌスクナッカー・ウント・マウゼケーニッヒ
というタイトルのドイツロマン派の小説家
ETAホフマンが作った童話なんですよ。
ところでチャイコフスキーのバレーくるみ割り人形は知ってても、
この原作の筋を知っている人はほとんどいないでしょうね。
実は、、、原作は、、、、こんな風に始まるんですよ。
くるみ割り人形とねずみの王様 Nußknacker und Mausekönig ダイジェスト版
(あらすじ)
クリスマスの夜、、、
フリッツとマリーは
(注)一般にはこの少女名がクララとなっていますが原作はマリーですよ。
プレゼントにくるみ割り人形をもらう。
フリッツは不細工なこの人形をバカにして、、、、
ムリに堅い胡桃を割らせて顎を壊してしまうが、、、
マリーは壊れた顎を包帯でくるんで、、、何となくこの人形に愛着を覚えるのだった、、。
その夜、、、
マリーが目覚めると、なんとネズミ軍とフリッツの兵隊人形が戦っているのである。
あのくるみ割り人形が総大将で戦っているのだが
兵隊人形が負けそうになりマリーはネズミにスリッパを投げつけてくるみ割り人形を救うのである。マリーは飛び散ったガラスで手をけがしてしまう。
翌日マリーはこの事件を話すがもちろん、誰も信じてくれない。
その時、、時計職人のドロッセルマイヤーおじさんが訪問してきて
壊れたくるみ割り人形を直してくれてこのくるみ割り人形にまつわる来歴譚をマリーに話してくれる。
(このドロッセルマイヤーという人物、、ホフマンの作品に頻出する、異界と現実界を自由に行き来し、橋渡しする容貌奇怪な奇人役としてドロッセルマイヤーが登場する。
彼は「砂男」での、コッペリウスに相当するわけであるが、そこでの役回りは、
主人公ナタナエルを破滅させるという魔の男なのであるが
今回の役周りは
マリーに人形界の楽園への橋渡しという、善人?役で、まさに、「黄金宝壷」のアトランティスの世界へアンゼルムスを召喚する、サラマンデルたる、リンドホルストに相当する。)
さて
ここでその物語
「かたい胡桃の物語」 が挿入譚として語られます。
『硬い胡桃の物語』
昔々ある国の王様の台所の下に、、
マウゼリンクというネズミの女王と一家が住んでいた、
ある日その国の王妃様がソーセージを作っていると、
このマウゼリンク夫人が(ネズミですよ)ソーセージをねだる。
心優しい王妃様はネズミにあげてしまう。
さて、、王様が食べるソーセージが無くなってしまい王様は怒り心頭で
ネズミどもをひっ捕まえて殺してしまうのでした。
逃げ延びたマウゼリンク夫人はこの国の生まれた王女
ピルリパート姫に魔法をかけて醜い人形にしてしまう。
王様は発明家のドロッセルマイヤーを呼び出し王女を元に戻すよう依頼する。
色々調べた結果
生まれてから一度も髭を剃ったことがない若者に
「クラカックの胡桃」を噛み割らせて姫に食べさせれば姫は元に戻る
ということが分かった。王様は触れを出してそのような青年に姫を与えると言うのだった。
ドロッセルマイヤーは早速旅に出て世界中を探したが「クラカックの胡桃」は見つからない。
疲れ果てて帰郷したドロッセルマイヤーは故郷のニュルンベルグのいとこの家に立ち寄ると、
なんとそこでぐうぜん「クラカックの胡桃」を見つける。
そしていとこのむすこの若いドロッセルマイヤー青年があの噛み割る条件を満たしていることも知る。
早速王宮に戻ったドロッセルマイヤー氏は若いドロッセルマイヤー青年に見事胡桃を噛み割らせて
姫に食べさせると、、醜い人形だった姫は、天使のような元の姫に戻るのだった。
だがその時運悪くドロッセルマイヤー青年はうろちょろしていたマウゼリンク夫人(ネズミの女王)を踏みつぶしてしまう、
マウゼリンク夫人は断末魔の呪いで今度はドロッセルマイヤー青年を醜い「くるみ割り人形」に変えてしまうのでした。
こうして醜い人形になった青年を今は生身の王女になったピルリバート姫は拒否する。
しかしいつか醜い胡桃割人形は呪いを説かれるだろう
といってドロッセルマイヤーおじさんの「硬い胡桃のお話」は終わる。
その話を聞いたマリーは、、今ここに
あるこのくるみ割り人形こそ
その呪いをかけられた王子様だと固く信じるのだった。
さて
その夜になるとマウゼリンク夫人の息子たちが現れて
マリーに食べ物を要求して聞かないとくるみ割り人形をかじると脅すのだった
ある夜くるみ割り人形があらわれて、剣さえ貸してくれればネズミをやっつけられると、マリーに言う、
フリッツの兵隊人形の剣を借りたくるみ割り人形は見事
7つ頭のネズミの王様ををやっつける。
そして、、くるみ割り人形はマリーを誘って
洋服ダンスの中の外套の中の梯子を伝って人形の国へ案内してくれるのである。
そこにはいろいろなジュースの川が流れていて、、
お菓子の家の町があり氷砂糖の都もある。
胡桃割人形は人形の国の王子なのである。
、、、、、、、、、、、、、、、、、、、
と、、、マリーは翌朝、目を覚ます、、。
なあんだ夢だったのか?
もちろん誰もそんな話は信じてはくれない。
ところが、、、
しばらくした
ある日マリーの家に
ドロッセルマイヤーの甥と名乗る青年が訪ねてきて、、
マリーーに「私こそあのくるみ割り人形です」といって
求婚してあなたが結婚できるような年齢になったら必ず迎えに来ますといって帰ってゆくのでした。
それから数年後、
のある日、
ドロッセルマイヤー王子は金と銀の馬車でマリーの家を訪れて
マリーを花嫁としてのせて人形の国へと帰ってゆくのでした
おしまい。
ま
こんな原作なのだが、、
さてあなたの知っていた?胡桃割り人形のお話は
こうでしたか?
それとも児童用に翻案されたバージョンでしたか?
日本に流布する原作の邦訳本の多くは、児童用に脚色されたものであり、原作の味わいが失われているのは残念ではある。
それにしてもラストが人間界を捨てて、人形の国へ行ってしまうというのが、シュール?ですよね?
まあ現実界では平凡で汚れていてつまらないでしょうから
きらびやかな人形ワールドのほうが魅力的ではあるのでしょうが、、。
マリーはこの汚辱の人間界からおさらばして、、永遠に清浄な人形の国、夢の国、詩の世界で幸福に暮らすのである。
第二部 くるみ割り人形の映画についてのレビュー
さてここからは第二部です、。
映画化された「くるみ割り人形」のレビューになります。
実は私が調べた限りでは、
なんと三本もあることがわかりました。アニメを除く
☆ くるみ割り人形 原題 ナッツクラッカー3D 2009年
エル・ファニング主演。まだ12歳のエルファニングがとってもかわいいファンタジー映画になっています、前半はファンタジックでよいのですが後半はグロイネズミ軍が登場でいささか興趣をそぎます。
この映画、
2018,11,25日現在、合法動画サイトギャオで無料配信中ですので関心のある方はご覧ください。
☆くるみ割り人形とネズミの王様 Nußknacker und Mausekönig 2015 ドイツ 日本未公開
テレビムービーのようです
監督 フランク・ストイエ
出演、 マラ・エムデ 、 レオナルド・セイド
すごい現代風なお話になっています。というか現代のオハナシです。
☆くるみ割り人形と秘密の王国 2018 ディズニー
これが最新作です。11月30日より全国公開。
愛する母を亡くしたクララはクリスマスプレゼントに卵型の容器をもらう。、母は亡くなる前にこの容器の中にすべてがあると遺言していたのだ。、
そしてドロッセルマイヤー氏が設定したクリスマスパーティでクララは秘密の鍵で秘密の通路を通りぬけて行った先は、、
、、花の国”、“雪の国”、“お菓子の国”、そして“第4の国”からなる≪秘密の王国≫
だった。そこでクララは様々な冒険します。
実はクララの母マリーがこの国の女王だったのだが、今はこの王国は崩壊の危機に瀕していたのだ、
この辺り原作通りにマリーが人形の国の女王、、という設定どおりですね。
崩壊しかかった王国を救うのは私しかいない。クララは出会ったくるみ割り人形のフィリップと第4の王国に旅立つのだった。
4つの王国のファンタジックな風景が素晴らしいです。
まあ原作とは全く違う一種の「後日譚」になっているというわけですね。
まとめ
胡桃割り人形というお話は知ってるようでほとんどの人は、
案外原作の本当の、筋は知らなかったということでしょうか。
この機会に原作を読んでみるのも面白いかもしれませんよね。
それではまた
どこかでお会いしましょう。
それまで
しばらくの間
サヨナラ
サヨナラ
サヨナラ
付記 あらすじについては私の記憶のみで書いてますので細部については記憶違いがあるかもしれません。ご了承くださいませ。