ポリス
☆閑話休題☆
セバスを落ち着かせ、一応二人とも下級ポーションを飲み、身支度を整える。セバスらが報告に来て10分ほど経って、ようやく領警察に会いに行った。
応接室―――――何時ものアルバート家ならば白いタイルに白いソファー、白い暖炉、特注の机、花瓶、絵画、贅の限りを尽くした御持て成しの部屋なのだが、すべて燃えた。
だから仕方ないんだ。こんな部屋でも・・・
第一兵舎二階に作らせた仮設応接室は部屋自体はでかい。装飾も下級貴族であれば十分及第点を貰えるレベル・・・むしろ良いくらいだ。
しかし、伯爵家。それも筆頭伯爵家であるアルバート家のものとしては残念に過ぎる。他の貴族が見たら失笑されてしまうだろう。
おまけに会うのがサツときた。はぁ~・・・
そんな風に、いろんな意味で緊張しながら私は応接室の扉を開いた。
☆
私の名前はヴィーン・デ・オルガネラ。
領民の平和と秩序を守る『王国ポリス・アルバート領・領警長官』だ。
長ったらしい肩書だが、つまるところアルバート領で一番偉い警官と言うことだ。王国全体では・・・まあ準幹部くらいには入るんじゃないだろうか?
自己紹介はこのくらいにしておいて、今度は現状について報告しよう。
私は今馬車に乗り、アルバート邸へと向かっている。と言うのも、先週アルバート邸襲撃と言うとんでもない事件が起こったからだ。
いつもの山とは桁が違う。行政そのものが麻痺しかねない事件だ。
―――――はあ~・・・
ヴィーンは今日何度目かになるため息を吐いた。
(なぜ今?私が長官になってる時にこんな事件を起こしたのか?・・・・あと三か月遅ければ、私は王都に返り咲いていたというのに・・・・。)
昔からそうだ。
私はいつも間が悪い。初恋のあの子も、お買い得セールのあの日も、救命ボートに穴が開いていたのも、上司運も。
最近はこんなことも無くなっていたのだが、どうやらインターヴァルの分だけでかい不幸が待ち受けているだけだったらしい。
「癇癪女帝、か・・・・。」
悪い噂ばかり・・・、と言うより悪い噂しか聞かない女だ。
そんな女と一つ部屋で話さなければいけない・・・
無事で済むはずが無い。
う~、腹が・・・
「ジャック!胃薬、胃薬を持ってこい!」
ヴィーンの腹痛はアルバート邸に着くまで続いた。