これはこれでありなんじゃなかろうか?
どうして・・・よりによってレインの前でこんな失態を・・・・
ダメ・・・
終わった・・・
始まる前に終わった・・・
せめて、後少しでも夢を見たかったわ・・・
いやいや、いいのよこれで。
所詮私はヤクザ者、貴方は正当な騎士様・・・
どこまで言っても私と貴方はロミオとジュリエットと言う訳ね・・・
ほろりと涙が流れる。
エリザは感情移入しやすい人間だった。自分の妄想に涙を流してしまうほどに・・・・
「エリザベータ様・・・・・」
目まぐるしく急変する事態に完全に付いていけない二人だが、主の涙に条件反射で体を支える。
「「ど、どうかなされたのですか!?」」
「ありがと、レインハルト、。でも、ホントに問題ないわ。少し疲れただけ・・・。」
先程まで意気消沈していたエリザベータだが、好きな人に体を支えられ、心配されると言うこの状況に、顔が真っ赤にほてり、理性が吹き飛びそうになっていた。(←セバスの事は完全に忘れています。)
ヤバい、ヤバいわこの状況。
密室で二人っきりで寄り合う二人・・・
ブッ、ダメ!これはダメ!
散り散りになった理性を気合で集めまとめ、素早くひとりで立ち上が・・・
―――――きゃっ・・
急ぎ過ぎて右足に左足が絡まり、盛大に体が転倒を始める。
(あ、あうあ、あ・・、ああ、あ~ああああ)
ハイスペックスローカメラで撮影したような不思議な感覚だった。
思考までものろくなった様な感覚に陥り(実際は分からん)、私は上記の様な声なき声を上げていた。
交通事故をやった人間ならこの感覚が分かるだろう。
すごい時間をかけ、顔面が地面に向かっているのだが、体は全く動かない。
ヤバい、これ絶対鼻折れるよ・・・
――――――――どんどんと地面が近づいてくる
待って!
いやだ。それは嫌だ。
好きな人にそんなシーン見られたら立ち直れないから!
―――――無常無常。地面は近づく。
いやいやいやいや。ムリムリムリムリ。
――――――――それでも地面は近づく。
せめてレインはどっかに行ってくれ・・・
地面に衝突する数瞬前に、私はそんなことを思った。