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ZERO2

004

 この体勢をフル活用し、私は目の保養に勤しんでいる。

 長い癖毛のないストレートの白髪。整った目鼻立ち。黒い右目、赤い左目。

 厨二っぽい外見は大好物である。


 おまけにこの真剣な面持ち・・・


 ブッ、鼻血が出そうだわ。


 いけない、いけない、

 いけない、いけない、うへ・・


 (うへへへへへ、これはホントにバイや~ですなぁ助さん。

 いやね、ホントお腹いっぱいですよ角さん。)




 腕の中の主君が、かなりヤバい一人談議を咲かせているとは露知らず、

 レインハルトは警戒を怠らず、走り続ける。

 これまでも何度かの敵との遭遇があったが、全て『影』の副団長ロベルタが音もなく殺している。

 

実に助かる。

自分一人なら今頃、敵に囲まれ面倒なことになっていただろう・・・・


レインハルトは心の中で感謝を述べ、さらに足を速めた。



淀みなく動かされていたレインハルトの足が唐突に止まる。


そこは

埃っぽい、アルバート家では珍しい程掃除の行き届いていない部屋だった。

家具や人影などは無く、生活館などと言う代物などももちろんない。


しかしそれも当然だ。

ここは『第零塔』通称『旧邸』と呼ばれ、もうかれこれ200年近く使っていないのだ。


レインハルトはゆっくりとエリザベータを床に下ろした。

その拍子に、

運がよくか悪くか、エリザとレインハルトの視線が絡まる。


数瞬の沈黙・・・


その後、ボット示し合わせた様に、二人の顔が赤面した。


「あ、あえ・・お、おはよ。」


天パリ極まり、寝起きの挨拶をするエリザベータ。

対してレインハルトは、


「先程は突然の無礼申し訳ございません!!!」


一も二も無く謝罪を敢行。


初め何を言われたのか分からず、あっけに、直角に頭を下げるイケメンを見ていたが、

ようやく彼の意図を理解した。


先程、扉を開けた後の話をしているのだろう。


エリザベータが音に急かされ、扉を開けると、そこにはレインハルトがおり、

凄い速さでエリザの首に手套を食らわせると、映画のワンシーンのように気絶させたのだ。イケメン過ぎるだろ?


と言うことで、エリザにしてみたらご褒美のような物である。


(念のために言っておくが私はエムでは無い。ただ間近でカッコいいシーンを見れたことが嬉しいだけだ。本当だぞ・・・。)




☆☆☆☆☆


「分かった?私は怒って無いし、あれは私を助けるためにしたことだって分かってる。だから気にしなくていいわ。」


そんな話を何度かし、ようやくレインハルトを納得させたエリザベータは本題を切り出した。


「今の状況、どのくらい分かってるの?詳しく教えて・・・・」


「御意に。」


答えたのはレインハルト。あともう一人のこの部屋の存在・・・ロベルタもエリザの前にやってきた。

ロベルタは白い騎士服を着たレインハルトとは対照的に黒いローブで身を包んだ、童顔の小柄な男だ。


「現在このアルバート邸が何者かにより襲撃を食らっています。襲撃犯は恐らく中隊以上の大規模で組織だったもので、此方には既に少なくない損害が出ています。十分ほど前、襲撃に気付いた我々が行動を開始。私とロベルタでエリザベータ様の救出・保護。軍曹のババローネが兵の士気を取り、賊の討伐に当たっているところです。」


「そう、・・・鎮圧は出来そう・・・?」


「ご心配には及びません。」


すかさずレインハルトが返事を返す。


「それともう一つ・・・。父上は無事なの・・・・?」


母について聞かなかったのは既に他界しているからだ。

祖父母も兄弟もいない。

つまり父はエリザベータのこの世界の唯一の肉親なのだ。


レインハルトが父の生存の報告をしないこと、まだ会っていないこと・・・・

最悪の事態の想定は出来ていた。


今は、聞かない方がいいと分かっていたが、エリザは聞いてしまった。


瞬間二人の顔が強張る。


(ああ、成る程・・・・やっぱりそうなのか・・・分かっていたわ。)


分かっているけど、どうしてもやるせない・・・

自分の無力が恨めしい、悲しい、悔しい・・・

前世の母や父や皆も、きっとこんな気持ちだったんだろう・・・・


「「力が及ばず、申し訳ございません。」」


レインハルトとロベルタが深深かと臣下の礼を取る。

私はそれをひらひらと手で制する。


「貴方達に責は無いは。純粋に相手が上手だっただけ・・・・。でも・・・、そうか。・・・父上は死んでしまいましたか・・・・。」


エリザの瞳からポタリと涙が落ちた。

ホントに自分の弱さが情けない。


私は驚き、駆け寄ってくる二人を手で制すと、煌々と燃え盛る我が家を睨んだ。


「レインハルト。ロベルタ。――――――――」


空気を察して、二人は喉を鳴らす。


「今日から私がアルバート家の当主よ。改めて命じるわ、二人とも、私に、アルバートに、今一度忠誠を誓いなさい!」


「「イエス・ユア・マジェスティ。」」


燃え盛る業火を背に、二人のイケメンが膝を着き、首を垂れ、

私の手の甲に誓いのキスをした。

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