物語の一話的な。弍個目
物語の一話的な。二個目です。
「イヤッホーイ!今日は休みだはっははー!」
土曜日。この中学二年生にとっては休みの日である。
「あっははー!遅刻遅刻ー!」
いつもなら死に物狂いで一階へ降りる時のセリフも今日はにっこり笑ってふわふわした足取りで言う一人の男の子。デジタル時計にはam11:00と表示されていて、休みということを除きいつも通りに活動を始める少年、天代幸の周りはとても平和だった。今日は友達の家に遊びに行こう!そんなことを考えていた。
「ふんっふふーん♪」
鼻歌を歌いながら。いつも通り着替え、いつも通り一階へ降り、いつも通り朝食を食べ、いつも通り支度を終えた彼は、にこやかに玄関へ向かう。いつも通りじゃない事があるとすれば、今日が休みなのと、親が居ないことだ。目の前の道路を右に曲がってすぐ、などと友達の家への道のりを確認しつつ、笑顔でドアを開ける。そしていつも通り、若葉色の踝程の高さの草が生い茂り、大きな木が点々と生えている草原が、そこには広がっていた。
うん―――――。
その天気のように穏やかな笑顔の少年は、そのままゆっくりドアを閉じた。笑顔のまま玄関を戻り、笑顔のまま階段を上り、笑顔のまま自分の部屋の扉を開け、入った。そしてパタン。ゆっくり扉を閉じる。
――いつも通りってなんだっけ。彼の笑顔がそう語っていた。トントン。ドアを叩く音。どうやらお友達の方から僕のお家に来てくれた。勿論草原にお住まいの。さて、明日は何をしようか。そう思いながら20分程の活動時間を経た後、ベッドに入る。いや、入ろうとしたが、ガチャリとドアが開く音がしてその行動を中断させた。何故かいつも枕元においてある名前も知らない小銃の模型をとりあえず持ってそっと下の階に向かう。扉を開け、階段を降りる。そのどれもが慎重であった。そして最後から二段目くらいのところで止まり顔だけを壁からそっと覗かせる。小銃を持ってこのシチュエーション。一度はやってみたかった。
「……!!」
そう僅かに思ったその時には後ろから来た重みで、床に倒れていた。仰向けに倒れ、彼の視界に映ったそれは。
普通に可愛かった。
外の景色とは全く合わないピンクの長髪、それに対し、外の自然と全く同じ色の瞳、日光を遮るものがほとんどない草原に住んでいるとは思えない白い肌。というか草原に住んでないのかな。そしてまあ、うん。耳が、猫だった。つまり獣耳だった。目が合った。可愛い。いや、だが見た目で判断するのは危険だ。もしかしたら僕を食べるために来たのかもしれない。
「…あ、あの…言葉…わかりますか…?」
とりあえず話す。そういう結論になった。
「わ、わからないのk―」
「にゃ」
食べられた。
いや違う。食べられたのではない。確かに口はつけられた。自分の口に。つまりはそういうことなのだ。一瞬で頭が真っ白になる。一体…なにが…起きた…!?全く思考ができない。
「これからよろしくにゃ、ご主人♪」
あ、そう。僕がご主人ね。この子の。ふーん。
彼はさっき中断した行動を再開する事にした。
―――――おやすみ―――――。
どうもまこです。頭が一話目しか作ってくれません。ということで、長い物語の一話的内容のものが、もし次も出すやる気と勇気があったら出ると思います。ごめんなさい。一話で完結してみたいです。