冒険者アルバ
しかし、アルバがアロンの後を追いかける時、モンスターの目から斧がはずれてしまった。
モンスターは傷で目が開かない為、アルバには気づいて無いが、通路の入り口はモンスターの巨体で塞がっていた。
アルバは斧を拾い攻撃を与えたが、モンスターの皮膚は硬く斧は弾かれてしまった。まだアルバは10歳の少年なのだ。
どうしょう…、早くここを抜け出さ無いとこのモンスターに殺される。
アルバは息を整えて渾身の力で切りかかった。
その時暴れていたモンスターの左手が、アルバの身体にぶつかり弾き飛ばされた。
壁に背中を強打したアルバは、一瞬息が出来ずその場に倒れた。
モンスターが暴れている音が近づいて来る…。俺はここで死んじゃうのかな…。
もう駄目だと思った瞬間俺は目を閉じた、するとモンスターの叫び声が洞穴に響き渡った。
目を開けると背中が見え、大人の男性がモンスター戦っていた、俺は立ち上がろとしたが力が入らずそのまま意識を失った…。
数日後意識を取り戻した俺は、マザースや他のシスターからたっぷりとお説教をされた。
あの時助けてくれたのは、たまたま町に立ち寄ったハンターだった。
俺を心配したマザースが町の冒険者に声をかけ、その時偶然居合わせたハンターが、俺達を追って洞穴に救出に向かってくれたのだと伝えられた。
彼は洞穴から俺を抱えて神殿に運んだ後、違う町に行くと言い残し旅立ったそうだ。名前も名乗らなかったという。
その日から俺は助けてくれた彼に憧れを抱き、毎日修行に明け暮れた…
その後アルバが13歳の時マザースが病気で死去した為、神殿から旅立ち冒険者として町を出た、数年後彼は屈強な冒険者になった。
彼は冒険で得た報酬を神殿に寄付し続けている。
シスターマザースの言葉を胸に刻みながら…。
「ねぇ…アルバ…あなたに何かあったら悲しいって事を覚えていてね…自分を大切にしなさい…」