山小屋の洞窟
その時、後ろからばたばたと人の走る足音が近づき扉が開いた。
《シスターマザース!大変です。子供達が森に入ったまま、帰って来ません》
シスターフレアが部屋に飛び込んで来た。
《なんですって!!フレア本当ですか!!》
《町の木こりが、子供達が山小屋に向かって行くのを見たって!でも山小屋には誰も居なくて…もしかしたらあの子達森に入ったのかも…》
《ばかな…あの子達はまだ職種を身に付けてない子共達なのですよ、森には入る事は出来ない筈です》
《シスターマザースもしかしたら…俺の修行場所に行ったのかも知れ無いです》
俺がそういうとマザースとフレアは驚き振り返った。
《アルバそれはどう言う事なの?》
《詳しく教えて頂戴アルバ》
《前に山小屋で手伝いをしてる時見つけたんだ、山小屋の裏に洞穴があってそこだけモンスターが出るんだ。だけどそいつらめちゃくちゃ弱くて、石を投げたら倒せるぐらいなんだよ、修行になるから時々そこで退治してたんだ》
《何て危険な事を…、でも洞穴などいつの間に出来たのかしら》
《フレア、とにかく町のハンターや冒険者に頼んで子供達の探索を…》
《はい、すぐにお願いして来ます》
そういうとフレアは部屋を飛び出して行った。
《アルバ、あまり危険な事はしないで下さいね、子供達も無事だと良いですけど、神に祈りましょう》
マザースはそう言いながら振り返った、するとそこには既にアルバの姿は無かった。
《あの子…!!まさか!!!》
アルバは山小屋に向かって駆け出していた。
シスター達には心配させないように弱いモンスターだと話したが、洞穴の奥の方にいるモンスターは、アルバでもかなわないモンスターが沢山存在する。
ダニー達には奥に入らないように言っているが、自分を探しに行ったのなら奥に入った可能性がある。
アルバが洞穴の入り口につくと、まだ町の住人は誰も来てなかった。
《アロン~ダニ~マリ~ア~ここにいるのか~》
耳を澄ますと、洞穴の奥から声が聞こえて来た。
《アルバ兄ちゃん!助けて~、ダニーが怪我をして動けなくなっちゃったの》
《近くに見たこと無い大きなモンスターがいるんだ、きっとここの主だよ》
ダニーの泣き声とモンスターの唸り声が入り混じって聞こえてきた。
《わかった今からそこに行くから、動か無いで待ってろよ》
俺は斧を両手に持ち、ダニーの泣き声がする方に歩いて行った。