episode2 目覚め
episode2
目覚め
また不思議な夢をみた。
次は俺はあの少女の首元を掴み締め上げていた。そのとき、俺はなぜか涙を流していた。
目を覚ます。
見覚えのない景色が広がっていた…。
たしか、俺は…学校で目が覚めたはずだが…ここは?
目の前に広がっているのは何もない。草木の広がった大草原。地平線まで見えるほどひろい。
そこに、おれはひとり佇んでいた。
衣服は…。制服のままだ。携帯は……。圏外である。ここはどこであるかという確認すらかなわないのか。というより、明らかに常識をはみ出したこの事態に頭が追いついていないのであろう。
人を……人を探そう…少なくとも誰か見つければ集落…もしくは街が見つかるかもしれない…。そう信じるしかない。
そう思い足を運ぶことにした。
道もないこの道を歩くには高校生の俺には厳しすぎたようだ。満身創痍に疲れはて、力尽きそうになったとき。
微かな音が聞こえる。人か…?音のリズム的には人の足音だ…しかも複数の…。
その希望を逃さぬようその発信源に急いだ。
今思えば愚かな行為だったかもしれない。人は基本的に悪である。昔のおえらいさんも言ってたことだ。
「おい…コイツ誰だ…?」
目の前にいるでかい男が問う。
「さぁな、けど金はもってそうだぜ?」
背の高いすらったした体つきの男が答える。
「え……金…?」
まさかこのような事態になるとは全く思わなかった。助かると思ってすがった藁が茨だったようなものだ。
「1ガルも持ってねぇのか?」
ガル…?円ではないのか?俺は異国に飛ばされた?いやしかしなぜ日本語が通じるのか…?
「金目のありそうな服着てるし…剥じまうか」
長身の男が短刀を取り出し迫ってくる。
「わりぃな、俺たちも生きるためなんだ………死ね」
短刀を振りかぶり俺の頭を飛ばしてしまう刹那。
大きな金属音が辺りに響く。
俺の頭が…まだ繋がっている?目をつぶってしまっていたが目をあけ前を見ていると…少女だ。
夢の中であったあの少女…赤い髪の凛とした横顔である。
少女はその手に持った長柄刀で短刀を受け止めていた。
息を一拍おき…一瞬の輝きだった。
長柄刀の美しさが紅き鮮血によって装飾されたのは。
「大丈夫でしたか?」
と、彼女は問う。
「もっ…もちろんだ!助かった!ありがとう!」
感謝では表せないほどの気持ちだった。
「とりあえず、この近くの街へ行きましょう。話はそれからです」
彼女は手を差し伸べた。なんのことだとわからず。取り合えず、掴んだ。
「よし、…いきますよ!」
彼女はそう言って、何をするかと思えば背中から翼を生やし飛翔した。
その時自分はやっと理解した。ここが自分の理解を超えた世界であること。そして、ここはもう自分が知っている地球ではないと。