episode1 プロローグ
episode1
プロローグ
やめろ…おれは……違うっ…
はっ……夢か…
とても、奇妙な夢だった…まるで混沌としか表すことのできないような世界、そして自分を裏切り者だと叫ぶ少女。赤髪の美しい娘だった。
時間を見れば軽く遅刻寸前の時間だ。
早く準備をしなくては行けない時間であった。
食事を淡々と済ませ家を出ていく。
同級生の姿を発見し、安堵する。どうやら遅刻は免れたようだった。
そんなことを思案していると後ろからいつも聞くうるさい声が聞こえてきた。
「よっ!凌弥」
幼馴染みの汐だ。
こんな口調をしているが女である。女であるがスポーツは男よりこなしてしまう化けもんだ。
本人曰く自分はすごくない相手がしょぼいだけ。なんて野郎だ。
「凌弥またちこくぎりぎりだったの?馬鹿みたいちゃんと起きないのがわるいのよー。」
幼馴染みはいつものように悪態をつく。それに対し俺はうっせっと短く反論した。
そんなバカなことをしてるうちに学校につく。奴は2組だが、俺は生憎違う組だ。昇降口で別れることにする。
教室につき短く形だけのような挨拶が飛び交う。
こころから挨拶する輩なんて生まれて此の方見たことがない。人間そんなもんだ。
席に座り、その日の授業の用意をする。そう、宿題だ。俺は基本的に家では課題をやらない。というより、やるのがめんどくさくなるだけなのだ。よって宿題は朝、朝会前にやる。余裕で間に合う量だ。
早々と筆を進めていく。成績は悪くないほうだ。この程度ならすらすらと解ける。
予定以上早く終わってしまい。手持ち沙汰になる。朝見た夢のことを思い出してみることにした。
ぐちゃぐちゃになった泥のような川、空は紅くそして、漆黒に包まれていた。そして、その中で自分は目の前にいた赤い長い髪を持った16歳くらいの少女に裏切り者だと糾弾されていた。そして、自分はそれに否定していた。
なんだったのだろうと思考をしていると
突然の頭痛に襲われる。
「オマエハエラバレタニゲルコトハデキナイハタセオマエノヤクメヲハタセ!!」
頭の中に直接響いてくるような声だ。実際頭に直接入ってきているのかもしれない。痛い…痛いというレベルではない。そして、俺はそのまま意識を失った。