クリスマスの予定
綱森(♀)二週間ほど体を壊していた。愛川に面倒見てもらっていた。
愛川(♂)綱森が好きで何でも気にかけていたが、気づかれてない。
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綱森(♀)
愛川(♂)
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綱森「暖房をいくら焚いても寒い。
震える手をさすりながら、二週間閉じてたカーテンを開く」
愛川「綱森?何してんだ、病み上がりのくせに」
綱森「あ、えっと。寒いから雪でも降ってるのかなって」
愛川「雪なら降ってたよ。ほら、ベッドに戻れって」
綱森「ごめんごめん。愛川に迷惑かけてきたのにぶり返したら意味ないね」
愛川「いいって。別に」
綱森「そういえば、どこに行ってたの?」
愛川「へ?」
綱森「雪降ってたって知ってるってことは外へ出たんでしょ?」
愛川「あぁ、着替え取りにっててよ」
綱森「着替え?別に泊まりこまなくったって…」
愛川「いいから、お前は気にすんなっての」
綱森「もう!大丈夫だってのに」
愛川「お前の大丈夫は当てにならない。むくれてないで寝てろ」
綱森「愛川ー」
愛川「んだよ」
綱森「ありがとー」
愛川「おう」
綱森「あんたに愛される女は幸せなんだろうなー」
愛川「自覚ねえやつに言われたくないって。
好き好んで世話ばっかしてるだけだと思いやがって」
綱森「ん?」
愛川「なんでもねーよ」
綱森「雪か、雪が降った。もう季節は冬なんだね」
愛川「お?そうなるな」
綱森「つかぬことを聞きますが。恋人は?」
愛川「は、はぁ!?」
綱森「そんなに驚くこと?」
愛川「恋人いたらこんなことできるわけねえじゃん!」
綱森「あ、それもそっか」
愛川「ばっかじゃねーの。ムカつくな」
綱森「友達は?」
愛川「いるよ!!」
綱森「クリスマスの予定は?」
愛川「仕事!」
綱森「仕事のあとは?」
愛川「飲み会!!」
綱森「飲み会のあとは?」
愛川「何が言いてえんだよ!!俺は寂しい人間ですよ!ええ!!」
綱森「そうじゃなくって。空いてる時間ないのって話なんですが」
愛川「空いてる時間?…作ろうと思えば作れるけど、なんで?」
綱森「いつもお世話になってる愛川にプレゼントがあるんだー」
愛川「ぷ、れぜんと…!」
綱森「綱森サンタからのプレゼントだよー」
愛川「そこまでガキじゃない」
綱森「あれれ、乗ってくれない。まぁ、いいや。
じゃあ、クリスマスの24時、私の部屋に来て?」
愛川「マジで?」
綱森「何が?」
愛川「クリスマスの夜中に男をひとり暮らしの女の部屋に入れるってことは…
そういうことなんだよな?」
綱森「溜まってるの?」
愛川「違う、断じて違う。いや、溜まってるけど、お前なんかで抜くわけねえじゃん」
綱森「ねえ、さっきから自爆してるよ」
愛川「ど、動揺してんだよ!!気づけっての…ちくしょ…」
綱森「愛川の欲しいモノが綱森サンタにはお見通しなのです」
愛川「へー、で?」
綱森「やっぱり乗ってくれない。
愛川は愛に飢えています。故に寂しいのです。一人の部屋が嫌です」
愛川「……聞き逃してやろう」
綱森「夜も一人なんて耐えられない!僕は、寂しい人間じゃない!
でも、結局寂しい人間なのです。
私も同じく寂しい人間だからわかるのです」
愛川「綱森…」
綱森「だから、寂しい同士、一緒に居ればいい。
そう思うのです。
な、なーんちゃって!ちょっとくさいね」
愛川「いや、いいと思う。綱森サンタのその考え」
綱森「ホント!?」
愛川「要は、お前がクリスマス独りきりなのが寂しいから、
俺と一緒にいたいってことなんだもんな。
いいぜ、別に」
綱森「綱森サンタはそこまで言ってないです」
愛川「綱森は?」
綱森「私は……」
愛川「綱森はどう言ってるんだ?」
綱森「一緒に、いてほしいって」
愛川「おう」
綱森「傍にいて欲しいって…思ってる」
愛川「なんだ、伝わってたのか」
綱森「え?」
愛川「俺、お前のこと好きだから風邪の世話したりしてたんだぜ?」
綱森「う、うっそー」
愛川「好きじゃなかったらここまでしないって」
綱森「愛川…」
愛川「クリスマス前に聞かせて?」
綱森「………好きだよ」
愛川「ありがと」
綱森「って告白もありなんだね」
愛川「…うーん、結構引っ張ってるからどうかなって俺は思った」
綱森「ええ!!そっかな!?ゲホ、ゲホゲホ!」
愛川「ほら、クリスマスの続きなんて明日でも間に合うし。
なんなら来年もあるんだから。寝ろって。な?」
綱森「うう、悔しい」
愛川「俺は好きだよ」
綱森「じゃあ、このまま投稿を…」
愛川「ダメ」
綱森「なんでー!?」
愛川「俺のアイディアが多すぎ」
綱森「チクショー!こんな奴選ぶんじゃなかったー!!」
えんど