表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
鬼人  作者: リディア
旅立ち編
9/23

6話

「それはちょっと難しいな…」

「いや、こんなありきたりの武器をどうして作れないんだ?」

俺は今、人間最高の腕を持つと言われている名工リンポス…の三番弟子であるコーワンの元を訪れている。

忘れてるかもしれないが、俺は現在愛用している両手剣『ツインストレートN』の右剣を、例の大型魔物に投げてしまったことで失っている。

なので、もう一度作れないかと頼んでいたところだった。

だったのだが、

「なんでと言われてもだなぁ…

その『ありきたりの武器』によく使う鉄が不足してるんだ。

ここらで鉄が採れるのはドーガ火山くらいだが、あそこは鬼の領土。

それに戦争のお陰で人の領土で採れる鉄の大半は軍に回ってる。」

「個人で鉄を買い付けに行くか、魔物から取り返すしかないのか…」

「俺は買い付けに行こうにも取り返すにも、店を空けるわけには行かないからな。

しばらく盾無しの片手中剣で頑張れ!」

ってな感じで断られてしまった。

「そうは行ってもなぁ…

俺は両手剣以外を使ったことがないからなぁ…」

「なんとかなるだろ!

お前の素質は未知数だからな!」

「未知数ってなぁ…

俺はただのランク2魔狩者だぞ?」

「ともかく、それしか道はないんだ。

腕の良い片手剣使いを紹介してやるから、そいつに手取り足取り教えてもらえよ!」

「あぁ、すまないな。」

「良いってことよ!

じゃあ、明日の昼あたりに来てくれよ。

ちょうどそいつが来る予定になってるんだ。」

「わかった。明日の昼だな。」

そうして、コーワンの店を後にした。



「ただいま~」

「あ、おかえりタカミ!」

「おう、早かったな!」

宿に帰ってきた俺は、二人に武器の事がどういう話になったのかを聞かれたので、さっきコーワンと話した内容を伝えた。

「じゃあ、その片手剣使いにしばらくお世話になるってこと?」

「そういうことだな。」

「でも大丈夫か?昔から両手剣だったのを変えるってきついだろ?

ギルドに武器を借りたらどうだ?」

「たしかにそういう手もあるけど、ギルドの貸し出し武器はあまり良いものがないだろう。

すぐ刃こぼれするようなボロ武器だ。」

「だよなぁ~」

「じゃあ仕方ないよね…」

「だから悪いが、俺はしばらくクエストには行けないことになる。」

「それなら大丈夫だよ。

まぁ、大丈夫ではないんだけど…」

「ん?どういうことだ?」

「例の大型魔物の影響でランク4未満の魔狩者の林へのクエストは出れなくなってんだよ。

だから俺たちはしばらく町で待機してるしかないって訳。」

「まじかぁ…

って待て!俺の右剣はどうするんだよ!」

「諦めろ」

さらっと笑顔で言われましたとさ。


その時、誰かが部屋のドアをノックする音が聞こえた。

「はーい?」

「デリーツ様にお手紙が届いております。」

この宿の宿主だ。

しかし、手紙とは珍しい。

孤児の俺たちにはギルド以外に知り合いなどほとんどいない。

そのギルドも緊急でない限り手紙など寄越さないのだから。

いわば、これが俺たち3人にとって初の手紙だ。

「えーっと、誰からだ?」

「あ、裏に書いてある。ララさんからだ!」

「ララから?なんだろう…」

「速く読めよタカミ!」

「わかったわかった。えっと…」

さすがはギルドの受付嬢。

手紙の書き方が完璧だ。

が、拝啓などは飛ばして、内容はこうあった。

『先日タカミ君たちを襲った魔物の正体がわかったわ。

レスワイバーンという魔竜種だったみたい。

調査部隊の報告でわかったことで、たしかに片目に中剣が刺さっていたそうよ。

今レスワイバーンの討伐がランク4クエストに出されているわ。

中剣は回収できれば所有者に返却されるらしいから、安心してね。


追伸:ルルお姉ちゃんの計らいで返却されることになったんだから、感謝してよね。』

「感謝してよね。って、計らってくれたのルルさん…」

「まぁ、感謝しとこうぜ。

それにしても、ランク4かぁ、俺の予想も外れたなぁ…」

「予想?なんの予想だ?」

「あの大型魔物はランク5以上だろうって予想。

でも、レスワイバーンで、ランクは4。的ハズレだったよ。」

「でも、よかったじゃない。

本当にランク5以上だったら皆死んでたかも知れないし。」

「そうだな!それにしても、レスワイバーンか。

魔竜がこの辺にいるなんて珍しいな。」

「そうだね、たしかにこの辺は魔竜含め、竜人さえ嫌う植物が群生してるのに。」

「レスワイバーンだぜ?飛び付かれて降りてきたのかもよ?」

「たしかに、レスワイバーンならあり得るか。

まぁ、深く考えてもしょうがない。

そろそろ夕飯にしようぜ。」

「じゃあ、宿主さんにルームサービス頼んでくるね。

何が良い? 」

「じゃあ、魚A。」

「俺は肉Cで!」

「はいはーい。」

やっと大型魔物の正体が判明しました。

レスワイバーン…劣ったワイバーンです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ