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鬼人  作者: リディア
旅立ち編
3/23

1話

お待たせしました。

やっと本編入りです。

「ハッ!」

俺は悪夢に目を覚ました。

体は汗だくだ。

(また…あの日の夢か…)

突然、俺たちの住む教会が襲われ、

ひたすら逃げることしかできなかったあの日の夢。

「あれ、タカミもう起きたの?おはよう、今日は早いね。」

笑いながらそう言う幼馴染みに対し、

「あぁ、おはようエミ。

偶然だよ、偶然。」

そう答える俺。

あの日の夢を見た、なんて言う必要はない。

俺たち3人は、あの日のことなんて思い出したくないのだから。

ん?二人しかいないだって?

あぁ、それなら、横で大きないびきをかいて寝てる、ユウキってのがいるぜ?

どれ、今日は俺が起こすかと、悪い顔をしながら起き上がる。

「え、なにする気なの?」

タカミ「なぁに、たまには俺が起こしてやろうと思ってな」

笑いながらいや、にやけながら答える。

「グガ~!ゴ~!」

(本当にうるさい。まぁ、普段は寝てて聞いてないがな)

「さて、起こすとするか」

と言い、にやけながら近くにあったメガホンをとる。

「あ、それ…」

ん?エミがなんか言いかけたみたいだが、ここはあえてスルーだ。

大きく息を吸って…

「おぉきろおぉぉ!!」

と、ユウキの耳元で叫ぶ。

「どわぁぁ!」

「おはよう、ユウキ」

ニヤニヤした顔でそう呼び掛ける。

ユウキ「なんでお前に起こされなきゃなんねぇんだよ!

そのメガホンもエミのだろうが!

てか、なんで起きてんだよ!」

ほぅ、このメガホンはエミのだったか。

ってことは、いつもエミの大声で起こされてるわけか。

どんな耳してんだか。

「偶然早起きしたから、たまには俺が起こすかって思ってな」

と、笑う俺。

「クッソー、俺が早く起きれば…」

と、ユウキが呟くが、

「ユウキが早起きしたことって、一回もないじゃない」

と、エミの鋭い突っ込みがきまる。

「グゥ…」

エミ「たまには早起きしてよね。起こすの大変なんだから」

ユウキ「はいはい、あと10年くらいしたら早起きするよ」

「10年って、その間私が起こさなくちゃいけないわけ?」


グウゥゥゥ~


「ん?誰か腹なったな?」

「お前だ(タカミよ)!」

「ハモるなよ!まぁ、良いや、はやく朝飯食いに行こうぜ!」

「だーめ!今日は用意しておいたから、ここで食べる!いつも外食じゃあ宿代なくなっちゃうよ!」

クソッ、俺の好物『マッシュー特製キノコステーキのキノコソースがけキノコのソテーを添えて』は食えないのか。

「はい、これが今日の朝ごはん」

と、出されたのは、

「サラダとハムと…」

「ロールパン…」

(市販だ!)

と、俺とユウキの二人は感じた。

が、そんなことは口が滑っても言えるわけがない。

俺たちは黙々と食べることで、口を塞ぐのだった。


食事を終えた俺たちは、この町にあるギルドへ向かっていた。

ギルドというのは、様々な目的を持って旅をする者や、魔狩者をサポート及び管理する機関だ。

そして、俺たちは魔狩者のパーティー。

魔狩者には、この町や、付近の村や集落からの依頼が、ギルドを通して来る。

それらはクエストと呼ばれ、

魔狩者なら誰でも受けられるフリーのもの、

ランクの指定のされたもの、

有名になれば、個人を指定したもの、

そして、付近の魔狩者は強制でさんかするものの、4つがある。

ちなみに、俺たちは、9段階あるランクのうちの、ランク2だ。

今日は、宿代や装備代などを稼ぐために、手頃なクエストを探しにいく。

「どんなクエストが良いかな?」

「ランク1モンスターの掃討なんてどうだ?」

「はぁ?俺たちははランク2だぜ?ランク2モンスターくらい狩ろうぜ?」

「えー?ランク2モンスターだと、今の装備じゃ難しくない?」

「そうだよ。今は金を貯めるのが先決だ」

「ちぇー」

そうこうしているうちに、ギルドに着いた俺たちは、顔見知りの魔狩者たちと挨拶を交わしながら受付へ向かう。


「おはよう『デリーツ』の皆さん」

笑顔で挨拶してくれる彼女は、ここのギルドの受付三姉妹のひとり、ララだ。

で、『デリーツ』っていうのは、俺、エミ、ユウキの三人のパーティー名だ。

「あぁ、おはよう」

「おはよう、ララさん」

「おーっす!」

「それで、今日はどんな用件で?」

「クエストを受けにね、ランク1モンスターの掃討なんてあるか?」

「できれば、報酬の良いものが良いな」

ユウキが笑いながら付け加える。

別に、並の報酬が貰えればなんでも良いんだがな。

「そうねぇ…リキッド20体以上の掃討なんてどう?

報酬は1Gよ」

「リキッド20体にしては多すぎる額ですね…」

「なんでも、観光に来たお金持ちが襲われたらしくてね。

なんとしても恨みを晴らしたいみたいなのよ」

「なるほど、それで1Gなんて額にして、魔狩者を釣ろうとした訳か」

「そんなところね。それで、どうする?」

と、訪ねてきたララさんに、

「勿論受けるぜ!」

ユウキが元気よく答えるが、

(リーダーは一応俺なんだから勝手に受注するなよ)

と、思う。

まぁ、受けるつもりだったし、構わないんだけどな。

「じゃあ、はいこれ」

渡されたのは、魔力によって、倒した魔物の数を数える装置で、カウンターと言う。

うん、そのまんまだ。

これの普及によって、討伐系のクエストに関する不正は激減したそうだ。

それでも、激減に留まっている。

やはり不正というのは、完全になくすことは難しいようだ。

ちなみに、これが普及したことによって、魔物を倒す度に記録をとる必要が無くなったため、

魔狩りに集中できるようになったのも、

カウンターの利点だったりする。

タカミ「あぁ」

適当に相槌を返しながらカウンターを受けとる。

「じゃあ出発は明日だから、明日の朝に停留場に行ってね」

「わかりました」

そう言って、ギルドをあとにする。


「リカバーと…丸薬と…」

「煙幕に焼夷玉…それから投げナイフ…」

宿に戻った俺たちは、明日のリキッド狩りの準備を進めていた。

リキッドと言うのは、液体状の不定形モンスターのため、どこにでも隠れられる。

と言っても、所詮はランク1のため、個々で相手取れば、隠れられる前に倒せる。

が、今回は掃討、つまり、相当の数が発生している筈だ。

…ちなみに、掃討と相当をかけたつもりは全くない。

ともかく、数が多いなら、何が起きるかわからない。

なので、こうして入念に準備を進めて…

「ゴガ~!」

「「寝るな~!!」」

「ふぇ?!って、どわー」


ドンガラガッシャーン!


そんなこんなで、準備を終えた俺たち二人は、部屋で食事を取り、

俺はベッド

エミは自室で、明日に備えて眠ろうとしていた。

が、俺は眠れん。

何故かって?

残ったもう一人が準備を終えて、

それを点検しなければならんからだ。

いや、準備・点検はとっくに済んだ。

なら何が眠りを妨げるのか。

答は簡単。

「グ~ガ~!ゴガ~!!」

ユウキのいびきだ。

(だ~!うるさくて眠れねぇ~!!)

なんてことを叫んだら近所迷惑なので、心のなかだけに留める。

てか、すでにこのいびきが近所迷惑なんじゃないか?

結局、ユウキのいびきが収まる一瞬の隙をついて眠ったのだった。

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