14話
俺たちの約束。
それは昨日に遡る。
町での事件の後だ。
とりあえず、ティアを宿まで連れてきた。
「それで、この子はどうしたのよ?」
エミが聞いているのは恐らく、ティアのことだろう。
でなければなんだと言う話だが。
「ティアっていうらしい。
兎の耳付いてるし、多分兎人」
「それはみればわかるわよ。
だから、どうしてこの子と一緒に帰ってきたの?」
「話せば長いんだが…」
俺は今日あった出来事、主に商店街での出来事を話した。
「じゃあ、この子のご両親は?」
「聞いても答えてくれないよ…
名前以外教えてくれないんだから」
「じゃあ、どうすんのこの…ディアッカ?」
「ティアだ馬鹿」
「どっちでも良いだろ」
いや、良くないと思う。
完全に男の名前だよそれ。
「ギルドにでも預けて、保護してもらうか?」
「うーん…明日は探索だしなぁ…」
「いやじゃ」
「本人はいやだって……へ?」
「嫌じゃと言っておるのだ」
うん、驚いた。
隣の部屋で寝ていた筈なのにここにいて、しかも「じゃ」?!
「ティアちゃん?」
「やっとお主らとだけで話せるというのに寝てしまっているとは…
我ながら情けないのぉ、まったく」
やっベー、なにがおこってるのか全っ然わかんねぇ。
「なぁディアッカ、お前何を…」
「ティアじゃ馬鹿者」
「グハッ!
まさか、こんな子供にまで馬鹿と言われるとは……」
ここまでくると救いようのない馬鹿だというのを改めてかくにんできるな。
本当に…
「お主らが驚くのも無理はないじゃろ。
じゃが、落ち着いて話を聞いて貰わんと困るのじゃ。
よいか?」
「え?あ、あぁ、構わない」
「まずは確認じゃが、お主ら、十統神は知っておろうな?」
「もちろん、知っているさ」
十統神とは、
『日神アポルォーン』
『月神ディアノーン』
『火神フレアリア』
『水神アクアマク』
『木神モクスレイ』
『金神メタライズ』
『土神ガイアール』
『幸神トライアークス』
『輪神サークリンガス』
『邪神ペンタゴレムス』
五行と日月に加え、幸福と輪廻、過ちの計十体の神のことだ。
それぞれが世界に関する何かしらを司っており、それぞれの曜日に力を増し、あるものは力が衰える。
この国と周辺の多くの国の人々は、十神教という十統神を信仰する宗教に入っている。
そのなかでも派閥はあるのだが。
「まぁ、知らなかったら記憶を消して立ち去るまでじゃがな」
記憶って…さらっと凄いこと言ったぞ?
この子何者?
「まぁ、知っていたのだから問題ないんじゃがな。
さて、では用件を伝えようか
そうじゃのう…お主ら」
「……」
「新人の魔狩者として活動しておるようじゃが、面白い力をもっておるのう?」
「…」
沈黙を保っているが、内心凄く焦っている。
真面目にこの子誰?
「とくにタカミとやら」
「ん?」
「お主は本当に面白い。
今の人間の情勢をみるとますますな」
「は?」
「わからぬか?
人間の情勢、すなわち人と鬼の対立じゃ。
ここまで言えばあの馬鹿にもわかるじゃろうて」
「…」
大体理解した。
こいつは俺を『人と鬼の混血』と言いたいのだ。
「まぁ、それは別として、お主らに直接の依頼があってのう」
「あー、そういうのはギルドを介してだなぁ」
「ギルドは駄目じゃ!」
「な、何をそんなに…
ギルドは嫌いか?」
「嫌いとかそういうのではない。
こっちにも色々あるのじゃ。
とにかく、依頼の内容は後日話そう。
お主らにも用事があるのじゃろう?
あと、今後、いっそう気を付けてその力を秘せ。でないと面倒なことになる。
よいな?約束じゃぞ?」
とまぁ、よくわからないことになっていた。
つまりだ。力をセーブしろというのが約束になる。
だが、今はそんな状況じゃないんだよなぁ…
今回をもって、もう少し投稿のペースを上げたいと思います。
約2週間だったのを、なるべく週一で投稿したいです。
たまに遅れたりしますが、よろしくお願いします。