闇の魚
薄暗い静かな部屋。
傾いた夕日が、窓から差し込んで木々の影をゆらゆらと床へ壁へと落とし込む。その光と影との間に自分の身体が溶け込んでゆくきがした。
ゆっくりと自分と闇との境界が薄らいでゆく。床へと寝転がり蒼くそまった天井を眺めながら呼吸する。
なにも感じず、思考を止めて、ただただ胸を上下させる。
静かな世界に沈み込む。
もし私が、にこのまま、消えてしまったとして、この世界に何の支障があるだろう。
いや、何もない。
ただでさえ、居場所を捕らえきれずゆらゆらと揺れているような存在なのだから。
きっと、このまま現実の世界に在りつづけたとして、誰の記憶にも残らない。
それでいて、私は存在していることになるのだろうか。ただの背景にすぎない。
現実への馴染み方をわすれた私は、これから死ぬまでずっとこの現実への違和感を傍らに在り続けるんだろう。
それがわかっていて、どうしてここにいたいのか?
いっそこのまま消えてしまいたい。
闇に溶けて存在ごとなくなればいい。唯一安らげるこの闇のなかへ。
そうしてそっと瞼を閉じる。
どうか、目覚めませんように。
そう祈りを込めながら。
しかし、目覚める時の虚しさを、一体何度味わえばよいのだろう。
虚に過ぎ行く日々の上を、ゆらゆらと浮かびただただ流れてゆくのだ。こんな命になんの意味があろうか。
頬が温かいもので濡れていた。
あぁ、また目覚めてしまったのか。
顔、声、微笑み。
胸の奥を締め付けるこの感情は何なのか。この苛立ちは何なのか。
ねぇ。
私は存在していいの?
否、そんなこと
誰も気にしちゃいないな。
生きたい人が生きられなくて、消えたい人が消えないのは、何故なのだろう。
ちょっと暗い話なので、気分を悪くされたら、すみません。
青い暗い部屋の写真の雰囲気からイメージして書いたものなので…雰囲気重視でした。
でゎ、読んで下さった皆様、ありがとうございました。