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第三章第二十二話
頭が混乱している私に追い打ちをかけるように、役所から電話が入った。電話の声はあの担当者からだった。「すみませんが、近隣住民があれからも電話がよくかかってくるんですよ。近隣をしずめてくれないと計画の審査が進みませんよ。」「お手数ですが、もう一度説明会を開いてもらえますか?」私はしばらく黙り込んで即答を避けた。そして、口を開いた。「説明会を開くのはやぶさかではありません。しかし確認したい点が何点かあるので、これからそちらへ向かいます。」心配そうに電話のやり取りを聞いていた江田課長が何事かと聞いてきた。