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第三章第十四話
担当者の冷酷な口調は私の神経を逆撫でしたが、私も少し落ち着きを取り戻せた。「わかりたした。私も今日の出来事を会社に持ち帰り、会社としての方針を決めて参ります。」私はそう言って席を立ち、役所を後にした。 役所から会社へ戻ると、もうとっくに定刻は過ぎていた。しかし、部の社員は、定時など関係ないという風で皆黙々と働いていた。働き者が多い会社である。 席へ座ると珍しいことに江田課長がまだ席にいた。私が、「珍しいですね。課長がこんな時間まで会社にいるなんて」とちょっと皮肉っぽく言った。