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第二章第十八話
男には再度、検討すると言ったが、1つ、大事な事をことわっておかなければならなかった。「工事の方法は再検討しますが、音を出さない工事は無理ですから、そこはご了承ください。」「当たり前のことを言うな。とにかくもう一度出直してこい。」男はそれ以上用はないから、早く帰れと言って、奥の部屋に姿を消した。私は次の日、江田課長に昨日の事を相談した。江田課長は腕を組んで考えをまとめようとしていた。「まあ、若い衆じゃなく、上の人でまだラッキーだったな。今日の午後、解体工事の社長が来るから、そこで対策を練ろう。」問題先送りのような気がした。