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第二章第十六話
私は縁側からその薄暗い部屋に上がり込んだ。薄暗い部屋には三人の男がいた。その中の一番年をとっていそうな男が手招きして、そこに座れと言った。私は緊張で足がもつれそうになりながら、男の前に座った。男はドスの効いた声で話し始めた。「おまえのところでやった建物を壊す工事だけどな。毎日大地震にあってるようなものだったぞ。それが今度はマンションを建てるだと、ふざけんな!」 男は床の間を背負って、いきり立っていた。よくみると、床の間の壁には、阿修羅絵と地獄絵図が描かれていた。