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第二章第十四話
私は、計画地前で悩んでいた。まだ昼を過ぎたばかりで、暑かった。悩んでも特に良い考えが浮かばなかったので、ここは正面から行くしかなかった。その人の家の重々しい玄関の前で大きく息を吸い、玄関扉を開けた。 「すみません。無限不動産の南と申します。」「うちは不動産屋に用はねえよ。」若そうだが、迫力ある声が聞こえてきた。「いえ、ここの西側の空地に建てるマンション計画について説明にまいったのですが。」「なにぃ。ちょっと、裏をまわって、こっちへ来い。」別のドスの効いた声が指図してきた。