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第二章第十二話
翌週の月曜日、私は江田課長に土曜日の報告をした。「どうもあの計画地の東側に面倒くさい人が住んでいるみたいです。」「どんな奴かな?」江田課長もこの業界が長いので、ある程度察しがついているようだ。 「まあそれはいい、ツテをたどって、どんな人なのか、調べよう。ところで肝心の家はどうだった?」「かなり強硬な姿勢ですね。反対姿勢を貫くようですよ。」私の言葉を黙って聞いていた江田課長がおもむろに口を開いた。「反対するのは勝手だけど、この狭い日本の都会で南側に空地のある所は、都会には無いって言ってやれよ。そのおばさんにさ。」天下の暴論である。さすが口の悪い江田課長。悪口を言わせたら、天下一品である。