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第一章第十三話
Sさんは重々しく口を開いた。「そちらにお譲りするには何点か条件があります。一つは今、あの土地の上にある建物は、あなたたちの責任と費用負担で解体してください。こちらには一切責任を負わせないでください。」私は予想したとおりの展開に心の中で頷いた。このぐらいのことなら十分私一人で決断できた。私は「いいですよ。負担します。」と言い切った。再びSさんが言った。「もう一点、これが大事なんですが、土地代をあと坪当たり十万円上げてください。」私の度量を量るように下からのぞきこんできた。