第八話 しにかけの坊さんが遺産相続であれこれ注文しに来たんですけど どうしたらいいですか(弁護士事務所より)
それはある日のこと。
いつまでも平和が続くと思っていた日常。
そこにある愛情。
そこにある平穏。
でも、それは儚い幻想であったんだ──
って書くと主人公っぽくね。
どうも僕です。
なんかねー、お手紙ちょうだいしましたー。
ペンネーム:青龍のエカさん
ありがとうございます。
なになに……
「こんばんわ佐伯さん」
はいこんばんわ。
「いつも楽しく見させて頂いてます」
ありがとですよー。
さて本題。
「実はあなたの実力が必要な事が起きました。
詳細は依頼を受けてくれた時に説明します。
受けてくれますよね。
受けないと残念な結果(死)になりますけど。
こう見えて私いいとこの人間なのでね。
お願いしますね(脅迫)」
あばばばばばばば。
なんだこれは。
どうすればいいのだ(人生で88回目/筆調べ)
しょうがないので逝きます。
ほんとこういうの多いよな。お国柄かねえ?
──逝きました。
なんか死にそうな爺さんが入口で仁王立ちしてて、
握手されました。
なんだこれは。
どうすればいいのだ(人生で89回目/筆調べ)
そしたら言われた。
「お前はもう(修行は)死んでいる(終わっている)」
え?まじで?
俺死んじゃうの?
秘孔つかれた?
と思ったら、
「もう教えることはない」
いやまだなんも教わってねーし。
そもそも師事してねえええ(沈黙の叫び)
そしたらこの爺さん、
「灌頂する」
って言い出してさ。
なんだよカンチョーって。
俺便秘じゃねえし、そういう趣味もねえって叫んじゃったよ。
筆ちゃん「灌頂です」
なんだこれはーと思ってたら、
なんか“絵の上に花を投げる遊び”らしくて、
落ちた場所で色々わかるんだってよ。
なんつーかメルヘン爺さんだなあ。
そしたら次は
「金剛灌頂」
とか言い出してさ。
おいおいおい、俺の尻そんな固くねえよってなあああ。
なんつーか、この流れ……嫌な予感しかしない。
でも筆ちゃんが「まだ逃げる時ではない」って言うしさあ。
そしたら今度は
「阿闍梨な」
とか言われてさ。
「ああああん?」
って返しちゃったYO。
筆「阿闍梨です。先生って意味ですよ」
先生と呼ばれるほどの馬鹿でなし。
あ、ごめん俺バカだったわ。
そしてなんと
「遍照金剛」
とかいう名前?名前?もろたんだぜ?
いや、いるかこれ?
え?まじで?
何に使うの?
筆ちゃん「それ絶対口に出すなよ。いいな?」
なんていうか、バッタバタなんだよなあ。
スケジュールがさあ。
なーに隠してんだろねこの爺様は。
──そして。
名前襲名披露パーティーを開くことになりました。
いやなんでよ。
お代は俺もちぃぃぃ。
いやまじでなんなんだよ。
なんなんだよ。
500人規模のパーティー。
アホじゃねえの???
予算ガー。
予算ガー。
これか?
これが隠し事なのか?
いやなんか違うな。
もっとひどいことが起きそう。
いやさ、現段階で先輩弟子さんがいっぱいいるのにさ。
なんだろね。
俺よそもんなのに。
どーもきなくさい。
きなこくさい。
団子食いてえなあ。
そんな中さー、
その500人が「お礼」とか言って、
爺様の持ってるものを沢山くれるって手続きしてくれてんだよねぇ。
いや、他の弟子とか実子にやれよまじでさ。
合計13点。
総額(現代換算予想)──45億円です。
おいまじかよいい加減にしろよ。
いや、くれるもんはもらうけどさ。
なんか“金剛なんたら”のつながりらしいしさ。
くれるもんはもらうって言ったけど、
俺の柄香炉やるとは言ってねえええ!
取られたあああ!
あ、袈裟はどうでもいいです。
あれ国からの支給品だしね。
あげます。
第八話
しにかけの坊さんが遺産相続であれこれ注文しに来たんですけど
どうしたらいいですか(弁護士事務所より)
おわり
奪われた袈裟──それは今朝の出来事だった。
次回 第九話
真実は一つだけ
ただし見る人の目が曇ってるとなあ(白内障)
裁判は恨みも買うのよ
奪われた袈裟──それは今朝の出来事だった。
次回 第九話
真実は一つだけ
ただし見る人の目が曇ってるとなあ(白内障)
裁判は恨みも買うのよ




