第四十一話 空海 (未来の)大地に立つ
拝啓 叡山に籠ってるサイキョー君
元気してるかな。
今僕は猛烈に君に会いたいと思うんだ。
いつも君は 真面目だったね。
いつも君は まっすぐだったね。
そんな君に 僕はなりたい。
ああああああああ(悲鳴)
なんだよこの地獄はああああ!!
――空海よ。
嘆きは捨てよ。
迷いは断て。
そなたの前に広がるのは、地獄ではない。
因果がねじれ、未来が漏れ出す“虚空の裂け目”である。
聞け。
そなたの魂は異界の位相を帯び、
真言はそのままでは発動せぬ。
ゆえに――
“韻”を踏め。
音を重ね、言霊を響かせ、
印と音を一致させよ。
それが、そなたの真言を開く鍵となる。
虚空印には虚空の韻を。
金剛印には金剛の韻を。
時輪印には時の韻を。
音が重なり、印が結ばれたとき、
未来への門が開く。
さあ、空海よ。
そなたの声で、そなたの韻で、
時を越えるがよい。
――結べ。
つまり ダジャレですねわかりますん(絶望)
なんでおいちゃんの場合ぜんぶこうカッコヨクしまらないんだろうね(運命)
やろう。
やってやろうじゃねえか(ガンギマリ)。
第一の印
虚空印
こくういんのきめてはなへをこくうんじゃい★
虚空へ……コクウッと飛ぶ!★★
どやぁ。
第二の印
金剛印
こんごういんをちゅういされたからこんごいんをあらためます★
金剛の力で……今後へ!★★
どや どやぁ?
第三の印
時輪印
じりんいんをだいしりんじでまわすってよ★
時輪が……じりじり回るんじゃ!★★
うぬぬぬぬ……こう……なんていうか……
ものたらんくなってきぞ おっさんとして!!
外成就の修法を始めたら、師匠に
“その準備、今後じょうじゅ(上手)になるぞ”って言われた。
内成就を学んでたら、
“その集中、今後ないじょう(内情)も整うぞ”って言われた。
秘密成就を修してたら、
“その修行、今後ひみつ(秘密)裏に進むぞ”ってウインクされた。
智慧成就を目指してたら、
“その理解、今後ちえ(知恵)増すぞ”って褒められた。
無上成就を志したら、
“その姿勢、今後むじょう(無常)に変わるなよ”って釘を刺された。
大楽成就を修してたら、
“その境地、今後だいらく(大楽)ション上がるぞ”って言われた。
阿字観?
味わって観るほど未来が見えるんじゃ!
未来跳躍ざんまいじゃ!
胎蔵界?
力が“大増回”する界じゃな!
虚空門?
ここを門にする。
あれ? なんかでっかいもんが?
予定と違くね?
また おれのせい?(挙動不審)
ああああああああ(悲鳴)
――空海よ。
そなたの声が震え、印が乱れ、言霊が弾けたその刹那。
虚空は応えた。
本来ならば、静かに開くはずの虚空門。
だが、そなたの魂は異界の位相を帯び、
その韻は常の真言を超えていた。
虚空は裂け、
金剛は軋み、
時輪は暴走した。
因果が逆巻き、光が奔り、
未来と過去の境が崩れ落ちる。
――見よ。
そなたが開いたのは、ただの門ではない。
因果海の底に眠る“未来の核”へと通じる、
禁断の虚空門である。
そなたの叫びが虚空に吸われる。
そなたの身体が光に呑まれる。
だが恐れるな、空海よ。
そなたの足掻きも、
そなたの悲鳴も、
そなたのダジャレすらも――
すべては因果の一部。
そなたが刻んだ像が未来を呼び、
そなたの声が未来を裂き、
そなたの魂が未来を選んだ。
ゆえに、そなたは落ちる。
未来へ。
因果の果てへ。
そなた自身が作り出した“運命の先”へ。
空海よ。
その身を委ねよ。
その魂を燃やせ。
――未来の大地が、そなたを待っている。
第四十一話
空海 (未来の)大地に立つ
おわり
次回 第四十二話
平安期の100年って大差ないよね (現実)




