第二十四話 神様だって 日雇い派遣業務はあるんだぞ 人間が社畜になって何が悪い
前任者が失敗した案件らしい。
命令書が酷いんだ聞いてよ筆ちゃん。
「 勅す。
讃岐国・満濃池、たびたび決壊し、民これに疲弊す。
この災い、もはや地方の力にては抑え難し。
朕、深く案ずるところあり。
遍照金剛・遍照金剛よ。
汝は大日如来の智慧を体し、衆生を救う器なり。
この国において、汝ほどの才をもつ者、他にあらず。
よって朕、汝に命ず。
満濃池の修築、ただちにこれを行え。
期日を問わず、成否を問わず、ただ“成す”のみを求む。
この勅、願いの形をとるも、実は願いにあらず。
朕の心、すでに汝を選び終えている。
必要なる人夫・資材・糧食、すべて朕が与える。
諸国の官人は、汝の指揮に背くことを許さず。
汝、護摩を修し、明王を遣わし、
工事の障りを祓い、池を永く安んずるものとせよ。
遍照金剛よ。
この務め、汝以外に誰が成し得ようか。
朕は汝を信じ、汝に託す。
天長元年 嵯峨天皇 」
ひええええええ。
なんぞこれ。断る選択肢がねえぞおい。
うーーーーーむ。逃げようか。
あれだ、今なら逃げれそうだけども。
筆「いえ、やりましょう。半年もあればいけます」
まじで?
逝くじゃないよね?
大丈夫だよね?
信じるよ?
よし信じた。
──やってきました四国のため池さん。
ああ、これは……経年劣化に、そもそも作りが甘いですねぇ。
まあ平安ならこんなもんですかのぅ(元エリート商社脳)
筆ちゃーん、行程プログラムつくろっかー。
筆「諒解しました。
① 資材の確保 食料の確保 金銭の確保
② 人足の確保
③ 改修の設計図
④ 作業工程作成
⑤ 作業監視人材(教育含む)確保
⑥ 安全確認監視員確保
⑦ 護摩壇の作成
⑧ 祈祷手順の確認
⑨ 不動明王召喚からの遣明王
⑩ 不動明王の手配による安全圏の確保
⑪ 護摩祈祷による行程の安全化
⑫ 人足含め全体の身体・精神への加護
⑬ 供物の確認
とりあえず今はここまでの行程を進めます」
なんか……筆ちゃんカワイイヤッターって気楽に思ってたら、
ガチできたぞ。
しかもなんだ後半おかしくね?
召喚? けんにょー?
加護ってなんぞ?
カゴ is なに?
供物って?
なんかやばそうな匂いがするんですがががが。
ま、まあ、ほら。
おれ、筆ちゃん信じてるし。
平気よね。
よし、信じた。
えーっくす。
次回 第二十五話
派遣でも偉い人
正規雇用でも偉くなれない人
神も人も変わらないな




