第十八話 始点と終点をそろえると間はナニも問題ないのは世界のルールよ
憶えていますか。
私は京都に入ってはいけないと言われたことを。
憶えていますか。
20年留学に行ったのに2年で帰ってきてしまったことを。
憶えていますか。
京都に入ってはいけない間、ここで謹慎してないといけないことを。
まって。まって。ねえまって。
謹慎キイテナイ。ワタシキイテナイヨ。キイテナイアルヨ。
拝啓 天国の父様母様。
顔も知りませんが元気でしょうか。
私はダイピンチです。
もしもし、わたし担当者。
いま、あなたの後ろにいるの。
ぴええええええ。
担当者「ですから、遍照金剛様におかれましては大宰府にいて頂かないといけないのですよ?」
誰だよ。
謹慎と言われたときと、謹慎が解除されるときに博多にいればいいって言ったの。
だれよ。
おれだよ(逆ギレ)
いやだってさ、今の情報伝達速度最速=船、やで?
もう超ラクショーってなるじゃん。
しかもさ、俺ごときに監視員なんてつけると思わないじゃーーん。
担当者「聞いておられますか」
ぴえん。
んんんんん。
チッ。しゃーねえな。
ハンセイシテマァァァッス。ウィー。
担当者「で す か ら」
はいはい、わかりましたよー。
何すればいいですか。
担当者「今、“なんでもする”って」
言ってない。
担当者「では、ここの名家の○○様の法要がありまして、そこに遍照金剛様のご出席を願えましては」
そこ行けばいいんですねー。
わかりましたよー。
あれ?
おれ責任者で行く感じで?
そうですか。
わかりました。
──こーれーはー。
個人法要なれど、
この遍照、一身をとしてやらねばならんときが来たようですね(担当者へのゴマすり)
よし、まずは視覚効果ですね。
わかります。やはり感動は視覚から。
というわけで──
ふでちゃーーん、お絵描きしよーぜー。
筆「あの、大丈夫ですか?」
いけるいける。
なーぜーなーらーばー、責任は担当者にあるからDAーーー!
筆「まあ(あとで騒ぎになっても)いいでしょう」
よーし描くぜー。
まずはこの前覚えたアレだな。
マンダーラ。いやっほう。
つーぎーにー、神様の絵姿でも描くかー。
テンションあがってきたああー。フゥー。
ついでにあれだ、経典でも書いちゃろーー。
いやっふうう。
──あれぇ?
あれぇ?
どうして法要の場というか全体が静まっちゃったのでしょうか。
ここは
「あの絵すごいね!感動した!」
とかの流れじゃないのん?
もっと褒めていいのよん?
担当者「遍照金剛様……あの密教図像と法典は、出してしまっていいのでしょうか?」
いいよいいよ。
担当者さんに言われたことだしね。
拙僧も頑張りました。あなたのために(保身)
──という流れで、責任を担当者さんになすりつけ。
というかもともと、謹慎中にここにいなかった件をもみ消す工作を担当者さんがやる代わりに、
担当者さんの依頼で法要行ったんだし。
あれか。
誰が悪いって担当者が悪いな。
うん(令和脳)
これは密教の奥義にもなってるのですがな。
因果は巡り、始まりと終わりは終息するのです(イミフ)
つまーりー、
謹慎命令受諾(博多:居た〇)
謹慎解除指令受諾(博多:居た〇)
期間中(四国とか逝ってた:博多居ない×)
でも、はじまりとおわりがムニャムニャなので円環の理
さらに曼荼羅的に言うと、間は“空”だから実質ゼロ。
つまり俺はゼロ日間しか博多を離れてない。
さらにさらに、空の理論では中間は存在しない!
つまり俺が四国にいたのは存在しない!
よって俺はずっと博多にいた!はい密教勝利!
筆「勝利とはいったい…」
ヨシッ。
──この後、この密教図像が博多曼荼羅事件として大騒動になることを
今はまだ誰も知らない。
筆「知らないの貴方だけですけど……」
第十八話
始点と終点をそろえると間はナニも問題ないのは世界のルールよ
おわり
痛めつけられた担当者の明日はどっちだ?
次回 第十九話
再び密教の理想を掲げる為に!
筆ちゃんとのスローライフ成就の為に!
京都よ!私は還ってきた!




