第十六話 回避困難な追加案件 渡る世間は社畜ばかり
何?予告のタイトルと違うだと?
いいか?良い子の諸君!
世の中は困難に満ち溢れているのだ。
諸君!私は薬草が好きだ。
諸君!私は薬草が好きだ。
諸君!私は薬草が大好きだ。
採集が好きだ。
乾燥が好きだ。
粉砕が好きだ。
抽出が好きだ。
希釈が好きだ。
混合が好きだ。
保存が好きだ。
街の中で、山の中で。
水田で、畑で。
城内で、城下町で。
寺院で、神社で。
戦場で、船上で。
この世の中で行われる調剤行為が大好きだ。
疫病で大量の患者共を薬の一撃で吹き飛ばす(病気)のも好きだ。
刀で斬られた深い傷の患部に薬草を貼り付けて苦悶の顔をさせるのも好きだ。
高熱で苦しむ子供に薬で安息の時を与え、朦朧とする意識の中「お父さん……」と勘違いされるのは感動を覚える。
病気で苦しんだ末に助からない患者に薬を与え、最後の時を心安らかに迎えさせるのは悲しい事だ。
諸君、私は調剤を望んでいる。
諸君、私を見ている諸君。
君たちは私に何を望んでいる。
更なる調剤を望むか。
情け容赦のない泥水のような調剤を望むか。
知り得るすべての知識を絞り、三千世界の疫病を殺しつくすような調剤を望むか。
調剤!調剤!調剤!
よろしい、ならば調剤だ。
我々は満身の力をこめて今まさに振り下ろさんとする薬研だ。
だがこの暗い闇の底で幾世紀もの間堪え続けてきた我々に、ただの調剤ではもはや足りない!!
調剤を。
一心不乱の大調剤を!
我々はわずかに──
筆ちゃん「長い」
ぴえん。
だってさー、だってさー、
ここがあの有名なハウスねごっこしたかったのにさー。
いざ行かん高野町へ、って言ったときに──
ツクヨミ様
「そなた、四国の件聞いたぞよ。
そして熊野のあの子にも逢ったみたいね。
そんな貴様に依頼があるのじゃがな。
聞いてくれるよな?」
圧迫面接ううううう!
いやもうさー、物事が終わったタイミングでさー、
回避不能の無茶ブリやめてくれめんすぅ。
ざっくり説明しますと──
①いざ高野山
②取引先の企業から追加案件
③混乱する現場
④責任を取らされる担当者 ← イマココ
なんでも〜、四国の魔法陣をこっちでもやれって言われてもさー。
なんでも〜、クマノコドーつうもんがあるからそこでやれってさー。
なんだよな、クマノコドンってさぁ。
筆ちゃんなんとかして〜。
筆「じゃあまずはココとココとココに……」
筆「それからツクヨミ様、この追加案件に報酬はあるのですか?」
ツ「無事メンテ終了したら大結界が発動しよってのぅ。
安芸〜熊野灘〜太地町〜高野町。
このルートの安全な通行手形など、いかがじゃ?
もちろん野暮な茶々入れは排除してやるぞよ?」
筆「よろしいのですか?ありがとうございます」
ツ「よいよい、ういやつじゃのう」
ビバ、俺、置いてけぼり案件。
悲しいけど、これって現実なんだよね。
というわけでー、クマノコドン逝きます。
途中薬草は取り放題でございます。
いいかい、世の中にはね、回避困難な出来事ってあるんだよ。
上司の無茶ブリだったり、ブラック勤務形態だったり、
複雑骨折した人間関係だったり、追加案件だったり。
でもね、きっと明日は今日よりいい事あるさ。
それが夢ってやつなんだよ。
人の夢って書いて「儚い」って読むけどね。
ははっ。
第十六話
回避困難な追加案件 渡る世間は社畜ばかり
おわり
社畜はいつの時代でも。
次回 第十七話
ここがあの有名なハウスね!(真)




