prologue
ミンナ歴20001年。
第13管轄区銀河、太陽系第三惑星・地球。
ネオ東京市スミーダ区画、山田屋荘103号室。
そこに住む一人の男。
元・物流商社のエース。
出世コースまっしぐら……のはずだった。
だが、人間関係は壊滅的。
同期のライバルに妨害され、キャリアは脱線。
そのまま会社を去り、人生もドロップアウト。
しかし、それを機に
「働くとはなんぞや」
という哲学に目覚め、早々にFIREを決めて引きこもり生活へ。
現在55歳。独身。
買い物は全部ネット。
資産はそこそこあるので働く必要なし。
コミュ障でヒキコモリ、でもまあ生きてはいる。
──そんな彼に、転機が訪れる。
体は年齢と不摂生でガタガタ。
人生にも悲壮感が漂い始めた頃、
かつてのライバルが“殺意”を抱いて接近してきた。
ライバルは、コミュ障を蹴落とした後、
自分の成績が落ちた理由を理解できなかった。
20年経った今、会社にも居場所がなくなり、
真の意味でドロップアウトしていた。
そして逆恨みの果てに──犯行に及ぶ。
刺された瞬間、
コミュ障の手にあったAI搭載型タッチペン
通称「筆ペディア」が、持ち主の危機を察知して覚醒。
その覚醒の余波で、コミュ障本人もこっそり覚醒。
二つの覚醒が重なり、誰も予期しない“次元乱流”が発生。
これが、後に「局地的極小霊的大災害」と呼ばれる事件の正体である。
──天の監視職員
大天使型観察特化仕様 TEN-SHI-103号
観察記録より。
・山田屋荘にて局地的霊的大災害発生
・原因:不明(次元乱流?)
・死者:2名
・二次災害:魂1名分が乱流に飲み込まれ行方不明
・追跡任務:難航の末、未解決のまま終了
魂の名は──佐伯。
未来での彼の名前である。
そして佐伯の魂は、
誰も知らない“どこか”へと飛ばされていく。
第0話 設定という読んでも読まなくてもいい話 おわり
次回 第一話
始まりの歌 ──でもアカペラは勘弁な




