始
私は前まで他の投稿サイトで活動をしていました。この作品はそのサイトで投稿していたシリーズもので再編成を加えて投稿しました。世は妖怪蔓延る世界。悪質な妖怪から人間の生活を守るため結束された「全世界拳法協会」の物語。様々な流派がいるなか「属性拳法派」に注目していきます。彼らの成長と葛藤をお楽しみください。
なんだか焼け焦げたにおいがする。あたりの家や倉庫は燃え、人の叫び声も聞こえる。苦しい。苦しい。苦しい。助けて。助けて。だんだんと気が遠のいていく...
気が付くと俺は屋内にいた。ここはどこだ。天井には5色の5匹の龍が描かれている。俺は生きている?俺は助かった?少し痛む頭に気を使いながら、辺りを見てみる。誰もいない。ただ静寂に包まれている。外の空気を吸おうと出てみると霧でおおわれていた。うっすら見える木々はたくさん生えているように見えて少し不気味だ。山の中なのか?探索してみようと辺りを歩いてみることにした。だいぶ歩いただろうか。建物を見失わないように気を付けているが、時間の流れは速い、もうとっくに暗くなってきてしまっている。しかも気温も低い。今にも猛獣が顔を出しそうだ。建物に戻ろうと引きかえしたその時、目の前に1つの大きなツルが垂れ下がってきた。ただのツルなので避けようとしたが、なんだが一向に前に進めない。鬱陶しいなと思いつつ無理やり前に進んでみてもかえって進めない。苛立ちを覚えながら足元を見てみる。そのツルが俺の足に強く絡みついていた。まるで生きているかのように。そう思った矢先、そのツルの持ち主だろうか、大木が右の頬を打った。俺はここで初めて恐怖を覚えた。木が生きている!?このままではまずい、重傷を負う。俺は力いっぱいそのツルを引きちぎり痛む足を引き釣りながらなんとか少し広い平野に出れた。ここまで来れば追ってこないだろう。そう思ったのもつかの間、ものすごい勢いでこっちに向かって突進、押しつぶそうとかかってきた。やっと助かったと思ったのに、いや、もうここは現世ではないのか?気が動いて殺しにくるなんて...
「燃えろ!化け木!」
目の前に炎が横切る。その炎は動く木と俺の絶望を燃やし尽くし揺らいでいた。
「大丈夫か!」
その声に振り向くとそこには紅い髪に、赤い瞳の好青年が立っていた。恐らく俺と年齢はそれほど変わらないような。その青年は俺の様子を見た後、大きく頷き、まだ余力が残っている動く木に立ち向かって行った。その戦う姿はまるで激しく燃え盛る炎そのものだった。あとで聞いた話だが、その青年の名前は火柱 蓮というそうだ。勇ましさが印象的だった。蓮くんに体調を見てもらった後、元の建物まで案内してくれた。どうやら俺がみていた建物はあの動く木がみせていた幻想らしく、実際はだいぶ離れていたという。そして建物の説明もしてくれた。ここは、「属性拳法道場」と呼ばれているらしい。蓮くんはここで修業をしているということだ。どうりで強いわけ。道場の内装をみていると、1人女性が入ってきた。髪は短く切りそろえられ、きれいな水色が映える。
「誰よ」
その問いかけはどこか威圧感を感じた。下手するとさっきの木より怖い。一瞬の間があった後、蓮くんが説明してくれた。
「こいつは、化け木に襲われていた。安全を考え、ここに連れてきたんだ」
威圧感を感じさせないほど蓮くんは淡々と話す。もしかしてこの女性もここに住んでいる?
「あぁ、そういうことね、じゃあ私の名前は落水 鳴美。よろしくお願いします!」
さっきまでの威圧感はどこに行ったのだ、自分から名乗ってすごく礼儀正しい。これは返さねば。
「へぇ~、あなた光源 烈っていうの!かっこいい名ね」
褒められてもうれしいが、今度は少し年上のお姉さんに見えてくる、なんだか印象がころころ変わる人だ。蓮くんも自己紹介していないことにここで気づき、少し申し訳なさそうだった。
「戻りましたー」
3人目の声が聞こえた。やはり複数人で修業をしているのか。緑髪の女性で話し方はおっとり、この2人より第一印象がよい。「こんにちは、私の名前は木崎 花です!よろしくおねがいしますね」快く握手を求めてきた彼女はどこか本物のお花のいい香りがした。
「うーん、君、化け木のにおいがするなー、さては殺されかけたな?あの木はねー、幻想を見せて誘い込むくせして、自分たちの領地に入ったら怒って攻撃してくる困ったさんなんだよねー」
どうやら花さんは植物についても博識なようだ。蓮くんと鳴美さんも静かに頷きながら聞いている。
「皆、そろったかい?」
空気が変わった気がした。その方向を見てみると中年くらいのおじさんが立っている。髪と髭には少しの白髪を携え、その髭は少し垂れ下がるほど伸びていた。気が付くと周りの3人は礼儀正しくお辞儀をしている。自分も真似してみせたが、どこかぎこちない。
「皆、ありがとう。新入りの君もありがとう。うーん、帳が来ていなさそうだな」
「はい、お師匠、いつものようにお待ちになられますか?」
帳。お師匠。疑問符を二つ持ちながら、話を聞いていた。
「まあ、今日はいいだろう。いつものことだ。というのも討伐任務でな」
それを聞いた瞬間、蓮くんのテンションは分かりやすく上がった。目も前より輝いて見える。それにさっきの礼儀正しさを捨てたのか子供みたいにはしゃいでいる。他にも目をやると、ひそかにやる気だっているように見えた。討伐任務?暴れまわっている者を平定でもするのか?
「君は、この様子だと自己紹介は終わっているようだね。勝手につれてきてしまって申し訳ないが、教えておかなければならないことがある。我々は「属性拳法派」。悪質妖怪どもの討伐に向かう」
次回のこのシリーズの投稿予定日は未定です。書き終えたその時が投稿日です。よろしくお願いします。
次回は悪質妖怪討伐を描く。烈にとって初めて見る妖怪の存在とは、一向に集まる気配のない帳とはいったい何者なのか、次回をお楽しみにお待ちください!




