48:大爆発へのカウントダウンと空中戦ですわ!
「GYUAUAAAAAAxxx!!」
雄叫びを上げながら突っ込んでくるドラゴンゾンビの衝撃波と溢れ出る瘴気擬きに怯んでしまったのですが、咄嗟に動いたアンジェリカが硬直していた私を突き飛ばしてくれまして……大事な肉棒を扱かれながら大剣を振るったアンジェリカのカウンターがドラゴンゾンビの首筋に入るのですが、ドロドロとした体を覆っているオーラがその一撃を受け止めて無効化していました。
(何ですか、今のは!?単純な防御力だけでは説明が出来ない硬さですわ!)
ゼブルスの因子が植え付けられているという事で超自然的なパワーを発揮しているのかもしれませんが、纏っているオーラのせいで攻撃が通らないというのはズルすぎますわ!
「アリシア…ご無事ですか?」
そのまま建物を破壊しながら壁を突き破っていくドラゴンゾンビを見送る事になったのですが、私達がゴタゴタとしている間にリッテンベルン宰相とノアさんの姿が消えていまして……。
「だ、大丈夫ですわ!でもドラゴンゾンビが!」
いきなり飛び出して来たドラゴンゾンビに驚いている人達の叫び声が聞こえてくるのですが、あんな化け物が暴れていたら鉱山の奪取どころか捕まっている人達の救出も難しいですし……なんていう事を考えながら今にも崩れ落ちそうな建物から脱出しますと、バサバサと空を飛んでいるドラゴンゾンビが辺り一帯の魔力を集めているのが見えました。
「あの高さだと…まともに攻撃する事もできませんね、とか言っている場合でもないようですが!」
「ええ、何か来ますわ!?」
周囲の魔力を吸収しながらブクブクと成長しているドラゴンゾンビとジオルグ山脈に眠っている鉱石が呼応して怪しく明滅していたのですが、ドラゴンゾンビの首の付け根の辺りにこびり付いている黄色い結晶から流れる魔力が骨格を伝い皮膚の下で鈍く光っていますし、被膜に描かれている魔方陣が強く光り出しておりまして……大技を繰り出してきそうな気配を感じ取ったアンジェリカが盾を構えてくれていたのですが、その動きを見てから私も慌てて聖氣の盾を展開しました。
(ああもう、出力が!?聖氣が吸われ続けていますし、瘴気擬きが…んんっ、ムズムズしてしまいますわ!)
出来たら町全体を覆うような盾を展開したかったのですが、ドラゴンゾンビの吸収が続いているので私達を守るくらいの大きさが精一杯でして……その上で纏わりついて来ている瘴気擬きが身体全体を弄って来ているので集中する事が難しいですわ。
「オ゙、オ…オ゙ォ゙ォ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙ッ!!」
それでもドラゴンゾンビとの距離が離れている事で何とか我慢できるレベルでしたし、気合と根性で瘴気擬きの刺激に耐えながら大技に備えまして……そうこうしている間に放たれた数百本のレーザーが辺り一面に降り注ぐと多くの家屋が吹き飛ばされて逃げ惑う人達が悲鳴を上げながら倒れ伏していく事になりました。
(まったく関係がないという訳ではないのですが、何も…こんな、殺さなくてもよろしいのに!)
なんていう憤りを感じていたのですが、レーザーが直撃した人達は白目を剥きながら失禁しつつガクガクと震えて倒れていきまして……意外と直撃しても大丈夫なのでしょうか?
「あの光に撃ち抜かれた者は力を吸い取られてしまうようですね」
「ああ…そういう、相変わらず悪趣味な攻撃ですわ」
エネルギーを集めて大爆発するのがドラゴンゾンビの目的ですし、周囲に居る人達から生命エネルギーを吸収しているのかもしれませんが……死なないといっても吸い取られすぎて干乾びそうになっている人達もいますし、長時間浴びていたら危険な物であるという事には変わりがないのかもしれません。
(何とか爆発を阻止したいのですが…生半可な攻撃では通じませんし)
私達が飛び回っていた事もあって対空用の装備を持ち出している人達がいるのですが、暴れ回っている化け物に向けてヒョロリと飛んで行く矢や魔法はドラゴンゾンビが纏っている瘴気擬きが防いでいるので掠り傷すら与えられていませんでした。
(だからといって…ですわ!)
瘴気擬きの防御力はアンジェリカの一撃をも防いでしまうのですが、このまま指を咥えて大爆発を待っている訳にもいきませんし……なんとかしてあのドラゴンゾンビを止めるか人口密集地帯から引き剥がさなければ不味い事になってしまうのかもしれません。
「アンは他の人達に避難を呼びかけてください、私はあいつの気を逸らして誘導できないかを試してみますわ!」
成長したドラゴンゾンビは首の付け根の結晶に魔力を蓄えながらブクブクと肥え太って爆発しそうな感じですし、ノアさんですら爆発に巻き込まれてしまうような攻撃範囲から逃げ切るのは現実的ではないので腹を括る事にしましょう。
「それは…くっ、わかりました!」
アンジェリカとしては私だけでもといった思いがあったのかもしれませんが、ルルさんやドワーフさん達にも事情を説明して少しでも安全な場所に避難してもらう必要がありますし……マリエラ教の聖騎士として人々を守らなければいけないという使命感に突き動かされるように苦渋の決断を下してくれたのですが、こうしてアンジェリカがサポートに回ってくれるので安心してドラゴンゾンビに向かう事が出来ますわ。
(距離が離れたからなのか範囲を広げたからなのかはわかりませんが、吸収の力が落ちていますし…飛ぶ事が出来るのなら一か八かですわ!)
一時的に消えていた翼を生やしてフラリと飛び立つのですが、吸収のデバフが無くなった訳ではないので何とか浮いているという感じでして……それでも大地にレーザーを打ち込みながらエネルギーを吸い上げているドラゴンゾンビのもとまで飛んで行く事が出来ますし、剣を届かせる事が出来たらワンチャン奇跡が起きてくれるのかもしれません。
「ああ、もう…吸収を止めて…こちらを、向きなさい!」
そうして七色の光を纏いながら斬りかかる私に皆の視線と期待が集まるのですが、ドラゴンゾンビは己の使命を全うする為にエネルギーの吸収を続けておりまして……私の事を脅威とも思っていないのか与えられた使命を優先しているのかはわかりませんが、その驕りが命取りですわ!
「この…だから!」
出来たらジャッジメント・ディザスターで吹き飛ばしてあげたかったのですが、下手な範囲攻撃で大爆発を起こしてしまったら元も子もないので嫌がらせのような攻撃を続けようとインペールに力を込めながら斬り込んだのですが、ドラゴンゾンビが纏っている瘴気擬きを意外と簡単に斬り裂く事が出来まして……。
(えっ、攻撃が通りましたの?何で!?)
弾かれると思って身構えていたので逆に驚いてしまったのですが、そのままドラゴンゾンビの巨体に一撃を入れると身悶えをするように体を捩っておりまして……私はドラゴンゾンビとインペールを交互を眺めていたのですが、女神の力がゼブルスの因子に対して致命的なダメージを与えているのでしょうか?
(なんだかよくわかりませんが、これは大チャンスですわ!)
相手の大きさが十メートル近くの巨体なので一撃二撃程度では痛痒を感じないのかもしれませんが、魔力の吸収を続けるというのならこのまま一方的に斬り刻ませてもらいますわ!
「ほらほら、どうしました?吸収攻撃をやめないと自分の体が斬り刻まれていきますわよ…って、んィい゙ッ!?」
調子に乗っていたらドラゴンゾンビのレーザーを受けてしまい……掠っただけでピリっとした感覚が全身を貫き下着が濡れてしまったのですが、とにかくドラゴンゾンビの意識を私に向けさせる事が出来ました。
「メザワリナ、コノ、チカラ…は、メガミの…」
そうして成長途中でたどたどしい片言ではあったのですが、ドラゴンゾンビが倒して来た結晶付きの魔物のように喋り始めておりまして……万物への殺意や滅びへの衝動といった呪詛のこもった禍々しい声色だったのですが、聖勇者がそんなモノに怯える訳にはいきませんわ。
「あら、どうやら本当に女神の力に弱いようですわね…安心してください、そうとわかれば聖勇者であるアリシア・W・神楽坂が良い感じに退治してさしあげますわ!」
気を引くための挑発を繰り返しながら斬りかかると鎌首をもたげたドラゴンゾンビが黄色く濁った瞳を向けて来まして……微かに灯った意識のようなものがグニャリと揺らいでいたのですが、ドラゴンゾンビは何か面白い冗談を聞いたというように笑ってみせました。
「ナル、ホド…だガ、ソノテイドノ、チカラ…で!」
ドラゴンゾンビの意識を向けられただけで絡まりついてくる瘴気擬きの濃度が濃くなり蠢き始めてしまうのですが、割れ目をなぞり上げながらクリ〇リスをグニグニとされるだけで息が上がって戦うどころではなくなってしまいます。
(後は…ここから引き離せば…いい、はっ、んきゅっ!?ず、ずるいですわ、こんな時にそんな所を弄り回すなんて!はっ、ぁああ…それ、でも…負け、ません…わ、私が、頑張らない…と、皆が)
放たれる光線を震える手で弾いていくのですが、こんな状態では全部を捌き切る事ができませんわ。
「ホラ、ホラ、ドウシタ?足モトがオボつかなくナッテいるぞ?」
「んきゅっ!?ま、まだまだ…はっ、ひ…っ、負けませんわ!」
なのでレーザーが弾ける度に快楽神経が焼き切れるような奇妙な感覚が身体を貫き嫌らしい感覚が刻み込まれていくのですが、軽い絶頂を噛みしめながらジリジリと後退していきまして……。
(とにかく、この…ま゙っ、ぁ゙あ゙あ゙!?ぁ゙あ゙ッ!?)
なんとかドラゴンゾンビをジオルドから離そうと試みるのですが、そんなことなど百も承知だというように無数のレーザーを乱射して来まして……数が多すぎて回避も防御も出来ないレーザーが私の弱点である乳首に命中すると雷に打たれたようにパチパチと弾けて潮を吹いてしまったのですが、その瞬間を狙って急接近して来たドラゴンゾンビの尻尾がインペールを弾いてしまい、武器を失った私は丸腰になってしまいました。




