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終焉の魔女に言の葉を  作者: みみっきゅ
第二章 襲撃と村、刻を追う旅
17/70

17. 祈りと小さな灯火

ネームドを増やし続けると頭のキャパが限界に達して覚えられなくなるドラゴンが〜♪

大聖堂の鐘が、街の屋根を撫でるように鳴り響いていた。


人で溢れる白い石の参道を抜け、リィナはひとり、礼拝堂の奥に足を踏み入れる。

高い天窓から落ちる光の筋が、祭壇を青白く照らしていた。


彼女は石の床に膝をつき、かすかな声を胸の奥で探すように目を閉じる。



「……お祈り、ですか?」


背後から、澄んだ声が降りてきた。


リィナが振り返ると、そこには修道服の少女が立っていた。

金の髪が光を受けて、まるで光輪のように瞬いている。


シルフィア――

その名をまだ知らない旅人と、まだ確かではない少女の最初の出会い。



シルフィアは小さく微笑み、リィナの隣に膝をつく。


「あなた……旅の方ですね?」


リィナは小さく頷いた。

喉に言葉は引っかかったままだけれど、どうにか伝わってほしくて。


シルフィアはそっとリィナの手を取った。


「旅人に祝福を。どうか、あの空の下で守られますように。」


彼女の手のひらから、ほのかに温かな光が滲む。

それはこれからの旅路を照らす小さな祈りの光。


リィナの胸が少しだけ熱くなった。



鐘の音が遠のく頃、シルフィアが小さく告げる。


「私は……ただの修道女です。でも、旅をする人には、無事を祈りたくなるんです。」


リィナは短く、かすかに笑った。



教会を出る頃、カイとライハが外で待っていた。


「遅いぞー! 何してたんだ?」


カイが声を張り上げると、シルフィアが小さく首を傾げて笑った。


「よければ……少し、手伝っていただけませんか?」




孤児院


シルフィアに連れられ、街外れの古びた孤児院へ。

壁はひび割れ、屋根からは雨漏りの跡が滲んでいる。


それでも子供たちの笑い声が、埃の匂いを塗り替えていた。


シルフィアは小さな包みを解き、焼き立てのパンを差し出す。

リィナも隣で、ぎこちなくパンを差し出す。


泣き虫の少年が転んで膝を擦りむくと、リィナはそっと手を伸ばし、

小さく無詠唱を唱える。

光が滲み、少年は泣き止んで笑った。



「ありがとう!」


少年の声に、リィナは目を伏せ、震えるほど小さく笑った。



孤児院の裏庭で、カイが木の枝で即席の弓を作り、子供たちに振り回されている。


「ちょ、待て! 痛い痛い! やめろ弓で叩くな!」


笑い声が、小さな夕暮れに響いた。




市場の帰り道


孤児院を後にした三人は、夕暮れの市場を歩く。


人混みの中、リィナは花売りの屋台で立ち止まった。


小さな花束を前に、言葉が喉に詰まる。

シルフィアが横からそっと声をかける。


「この花……欲しいんですか?」


リィナはこくりと頷く。


シルフィアは小さく笑って花を買い、リィナの手にそっと渡す。


「旅人には、花の祝福も似合います。」



帰り道、市場の端で膝を抱えてうずくまる老婆がいた。


シルフィアは迷わず腰を落とし、老婆の肩に手を添える。


ほのかな光が滲み、老婆の痛みは静かに溶けていく。



老婆が震える声で何か言いかけた時、カイが慌てて笑顔でかき消す。


「ばあさん! 気のせい気のせい! お祈りは心の中だけで!」


老婆はぽかんとしたまま笑って頷き、シルフィアの袖を握って小さく礼を言った。




小さな焚き火と、夜の囁き


夜の街外れ、焚き火を囲んだ三人と一人。


カイは子供たちに引っかかれた腕をさすりながら、

「お前、ホント天使だな……」とシルフィアに漏らす。


シルフィアは困ったように笑った。


「……天使なんかじゃありません。ただ、人を救いたいだけ。」


その言葉を、リィナは静かに噛み締めた。


月の光が、焚き火の先に伸びる旅路を照らしていた。


好きな展開発表します〜♪


パレヱド〜♫

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