嫉妬-26
「ありがとうございました」
修飾泰子はコウキとナオに礼を述べ、帰路についた。
「良いんですか?行かせちゃって」ナオは不安そうに言う。
「行かせて自由にさせた方が良いね」
「そうなんですか?」
「じゃ、俺達も仕事に戻ろう」
コウキはそう言って、警視庁庁舎へと戻る。
釈放された修飾泰子は、買い物に来ていた。
スーパーで食材を購入し、どうやら自炊する気みたいであった。
修飾泰子は会計を済ませ、まっすぐ家に帰っていった。
「怪しいところありませんね」
ナオが運転する横でスマホゲームに興ずるコウキに伝える。
「そだねぇ~」
「そだねぇ~って。コウキさんが尾行しようって言い出したんですよ?」
「うん。言った」
相も変わらず無責任な奴だ。ナオはそう思いながら、修飾泰子の自宅近くに車を停車させた。
「で、どうするんですか?これから」
「う~ん」
「このまま車を止めていると目立ちますよ」
「うん。う~ん」コウキは眉間に皺を寄せ考え込む。
ナオはこれ以上言ったら、考えの邪魔をすると思い黙る事にした。
それから二、三分した後、コウキは「あ、そういうことか!」と口を開いた。
「何か思いつきましたか?」
「いや、ほらっ、これ。回収ボックスを増やせば回収できてゲームクリアだ!」
そう言うや否や、ナオに思いっきり耳を引っ張られるコウキ。
「痛たたたた」
「痛たたたたじゃありません。何してるんですか?」
「ゲーム。ゲームっ!」
「仕事してくださいっ!!」
「しますっ、しますから・・・・・・」
「で、どうするんですか!?」
「は、はい。それは」
「それは?」
「これから考えますぅ~」
ナオは心の中で「ダメだこりゃだな」と呟くのだった。
そして、深夜。
ナオは運転手席でグースカ寝ている。その横でスマホゲームを興じるコウキの視線の先に変装をして家を出ていく修飾泰子の姿があった。
「さ、行きますか」
ナオを起こさないように車を降車し、尾行を開始するのだった。




