暴動-9
翌日、コウキとナオの二人は埼玉県にあるサバイバルゲーム施設に来ていた。
「サバイバルゲームの施設ですね」車を降りてナオはコウキにそう告げた。
「そう。ここが事件解決の糸口になるかもしれない場所」
そう言って、コウキは受付に向かって歩き出す。
「すいません」と受付担当者に向かって声を掛けると、暇そうにテレビを見ていたおじさんが小窓に移動してきた。
「はい。何でしょうか?」
「ここでサバイバルゲームをしているグループの名簿とか見せて頂きたいのですか?」
「貴方は?」
「こういう者です」とナオが警察手帳を提示した。
「少々お待ちください」とおじさんは奥に引っ込んでいった。
暫くして戻ってくると名簿を二人に手渡した。
「結構、居るんですね」とコウキは感心していると「うちは全国から来ますから」とまんざらでもない感じで答えるおじさん。
「おじさん、バイクで来るお客さんとかいませんかね?」名簿を見ながら質問する。
「バイク。ねぇ~」とおじさんは記憶を引き出しながら考えていると「あ、そうだ。そうだ。バイクの免許を取った子なら居たよ」と口を開いた。
「どこのグループに所属しているか、分かります?」コウキのこの質問に頷いて答えるおじさんは「湊会の子だったね」と教えてくれた。
「湊会。湊会・・・・・・」
ナオはそのページを探し始める。
「ありました。これです」
コウキにそのページを見せる。
「練馬区に所在しているのか。行こう」
おじさんに名簿を返してコウキとナオは代表者が居る練馬区へと向かった。
代表者は居酒屋を経営していた。
居酒屋の戸を開けると「すいません。営業まだなんですよ」という決まり文句が返ってきた。
「すいません。僕らお客じゃないんですよ。ほらっ」
コウキにそう言われたナオは警察手帳を提示した。
「警察? 警察の方が何か?」
「いえね、あなたが所属されているサバゲーチームメイトについて二、三お聞きしたいと思いまして」
「はぁ」
「失礼ですが、バイクをお持ちの方いますよね?」とナオが質問した。
「ああ、春川君ね」
「春川君って言うんですか?」
「ええ。彼が何か?」
「彼の連絡先教えてくれませんか?」
「ナオちゃん。急すぎ」
「すいません」
「春川君って、どんな子ですか?」
「どんな子って、今時の若い子とは違ってしっかりと目標を持った子ですよ」
「そうですか。射撃センスはどうですか?」
「どうして、そのような事を?」
「いえ、サバゲーの世界を知らないものですから、どんな腕前なのか興味がありまして」
「凄いですよ。元自衛官を打ち負かす程に」
「そうですか」
「すいませんが、彼の連絡先を」とナオが聞く。
「はい。少々お待ちください」と言って奥へと消える店主。
暫くして、店主は春川の情報を持って戻ってきた。
「春川君の連絡先です」と春川の連絡先が書かれた紙を渡した。
「ありがとうございます」
コウキとナオはそれを受取り、春川が住む家へと向かった。