嫉妬-5
コウキは悶々としていた。
修飾泰子の依頼を受けるのは、少しというか、かなり不服であったからだ。
「コウキさん。怒ってます?」
「怒ってないでぇ~す」と答えるコウキの視線は、窓の向こうを向いていた。
「怒っているじゃないですか」
「そう言われると余計にムキになっちゃうよね」
「すいません・・・・・・」
コウキとナオは、事件現場である池袋に向かっていた。
事件は、池袋のサンシャイン通り少し通り過ぎた住宅街の路地で発生した。
近くのコインパーキングに車を駐車し、事件現場へと向かう二人。
「今、世界の全ての人たちが貴方を忘れてしまったらぁ~」コウキは歌を口ずさみながら、事件現場に入る。
規制線はなかったが、被害者が撃たれた場所に花束が置かれていた。
コウキは静かに手を合わせてから、事件現場を見回す。
「何か見つけました?」
「うんな訳ないでしょ。そんなドラマみたいな」というコウキの視線の先にこちらをじっと見る子供が窓の向こうに消えた。
「まさかな・・・・・・」
「どうしたんですか?」
「何でもない」
「ここで被害者は銃殺されました。犯人の目撃証言はありません」
「子供は?」
「子供ですか?」
「そう、子供」
「子供からの証言はなかったかと。それが何か?」
「なら、良い。で、この事件は通り魔的犯行なの?」
「我々は、そうは睨んでません。被害者に恨みを抱いた人間の犯行であると考え」
「あの奥さんをって訳か・・・・・・」
「はい」と返事をしながらコクリと頷くナオ。
「ふ~ん」
コウキはつまんなさそうに答えるのであった。




