爆炎-28
コウキの発言からナオは浜松町駅ではなく東京モノレールの各駅を警戒し始めた。
「それらしき、人物居ませんね・・・・・・」
車を低速で走らせながら、ナオはコウキにそう言う。
「そう簡単に見つかる訳ないでしょ?それに、一駅、一駅回っていると見逃しちゃうかもよ」
今、一駅、一駅と周回しながら警戒任務に当たっていた。しかも、ナオとコウキの乗る覆面パトカー一台で。
「大丈夫ですっ」
何が大丈夫なのか。コウキには分からなかった。
「でも、事を起こすって宣言してから三日ですよ。動かないってどういう事でしょうか?」
「どういう事なんでしょうねぇ~」
「真面目に考えてくださいっ!」
「そんなこと真面目に考えても意味ないよ」
「どうして、そう言うやる気削ぐ事を言うんですか?」
「え~そんなつもりはないけどぉ~」とコウキが答えると一台のタクシーが前を通り過ぎていった。
それもコウキとナオの向かっている整備場駅へと向かっているようであった。
「ナオちゃん、ナオちゃん」
「なんですか?」
「あのタクシー停めよう」
「どうして?」
「気になるだろう?」
「何が?」
「ここら辺、走るタクシー見た?」
「見てませんけど」
「そうだろ?ほらっ」
コウキは覆面パトカーのマイクをONにして、「あーあ、前方を走るタクシー停まりなさい」と指示を出す。
「ちょっと、何、勝手なことしてるんですか!」
ナオが怒るのも他所に、目の前を走るタクシーは路肩に停車した。
「行こう」
コウキは覆面パトカーを降りて、タクシーの運転手の元へ駆け寄る。
「どうも」
「あの、何か違反しましたか?」と怪訝そうな運転手に「いえいえ、非常警戒の確認でして」と答えるコウキは後部座席を確認する。
後部座席には誰も座っていなかった。
「非常警戒の確認って?」
「あ、もう済みました。ところで、これからどこに?」
「整備場駅ですけど」
「タクシー配車アプリで?」
「ええ、そうですけど」
「どうも、ありがとうございました」
コウキが礼を述べ覆面パトカーに戻ろうとした時、別のタクシーが整備場駅へ向かって走っていった。
後部座席に客が乗っていた。
「ナオちゃん!パトライトを出して!」
車に乗り込むや否やコウキはナオにそう告げた。
「急になんですか?」
「行けば分かるっ!!」
ナオは言われるがままパトライトを出しサイレンを鳴らしながら、タクシーを追いかけるのだった。




