見映-12
「なぁ、下町ロケットって見た事ある?」
コウキは車内で横に座るナオにそう問いかける。
二人は今、アジト近くに車を停め、張り込みをしていた。
「下町ロケットですか?昔、見たような気があります」
「あれって、ブラック企業の話だよね」
「どうして、そんな感想になるんですか?こう、感動する話でしょ?」
「感動する為には、ブラック企業じゃないとダメなんだよ」
「何ですか?それ」
「いや、社員が泊まり込みで働くんだよ。しかも、無報酬で」
「そうとは限らないでしょ・・・・・・」
「いや、絶対無報酬だよ。あれ」
「なんでそう穿った目で見るんですか?」
「そう言う穿った目で見るから、面白いんでしょ。感動したぁ~ って、流されないんだから」
「そう何ですかね?」何でこんな話をコウキとしなくてはならないのかと思うナオ。
「でさ」
そう言おうとするコウキの前に手を差し出し、止める。
「何?」
「誰か出てきました」
ナオの視線の先に居るのは、フードを目深に被った男であった。
階段をつかつかと降り、トコトコと歩いて行く男。
「追いますっ」ナオはすぐに車を降り、男を尾行する。
「追いますっ、か・・・・・・」
車内に残ったコウキはスマホに目を向ける。
「どこに行くんだろう?」
ナオは尾行しながら、フードの男の姿を写真に納める。
フードの男が向かった先は、近所のコンビニであった。
「コンビニか・・・・・・」
ナオは店内に入らず、外でフードの男が出てくるのを待つ。
だが、男は出てこなかった。一時間、二時間と時間が過ぎていく。
そんな時、コウキから着信が入る。
「どぉ?」第一声はそれであった。
「実は」ナオはこのことを説明した。
「成程。そこが、怪しいな。今から向かうから、待ってて」
「あ、はい」
通話が切れてから、コウキはすぐに車でコンビニの前に来た。
「あそこ?」
「はい」
「二時間か・・・・・・」
「はい」
「疲れたでしょ?ちょっと、待ってて」コウキは車を降り、例のコンビニに入っていく。
そして、コンビニブランドのコーヒーを二つ持って戻ってきた。
「お待たせしましたっ」
コウキはコーヒーをナオに渡す。
「ありがとうございます。で、どうでした?」
「早速か」
「当たり前です」
「フードの男は居なかった。顔が見えなかったのは痛いよな」
「はい・・・・・・」そう返事をしながら、コーヒーに口を付ける。
「あのコンビニ怪しいな。アジトより、こっちを監視した方が良いよな」
「コウキさんもそう思いますか」
「思う」と即答するコウキ。
「では、このコンビニ張り込みしましょう。ちょっと、ご飯もの買ってきます」
そう言って、ナオはコンビニに食料品を買いに行くのだった。




