見映-9
「探偵ですか?なんで、また」管理官は説明を請う。
「ま、色々とね」
ハルミは麻薬シンジケートの事は、伏せた。何故、伏せるのか。ナオは分からなかった。
「取り敢えず、捜査はそのまま進めて頂戴。ナオちゃん、来て」
ナオを呼び出したハルミは捜査本部を出て、警視庁内の喫茶店へと場所を移した。
席に着きながら、「ナオちゃんに残念な報告があります」と言うハルミ。
「残念な報告ですか?」
「コウキの奴、会社を辞めたんだって」
「え!?どうしてですか!?」
「なんか、本題を切り出したんだって。今回の被害者と前回の被害者に共通点があるんじゃないかって」
「なんで、また?」
「さぁ、あいつの事だから何か考えがあっての事だろうとは思うけど。けどねぇ~」
ナオはハルミが言いたいことを理解していた。
「これからどうするんですか?」
「多分、再潜入は厳しいと思うわ。相手も警戒しているはずだから」
「そうですよね・・・・・・」ナオはそう返事をしながら、良い手はないか思案する。
「ま、次の手は考えるとして。どうして、さっき麻薬シンジケートの話をしなかったと思う?」
「内通者が居るからですか?」ナオは思いつきそうな事を口から出まかせで言ったら「ご名答」と返ってきた。
「そんな、誰が内通者なんですか?」
「それをコウキと調べて欲しいんだけど」
「分かりました」というが、警察内部に居る裏切り者を調べるのは少し嫌だなと思うハルミであった。
「ということが、ありまして」
翌日、ナオはコウキの事務所を訪れて事の顛末を話した。
「内部に裏切り者ねぇ~」
「何か、心当たりでも?」
「ないよ。今、初めて聞いたんだから」
「ですよね」
「ですよね。じゃないから」
「すいません。コウキさんが潜入した感想を聞きたいんですけど・・・・・・」
「聞いて何になるよ」
「聞いたら内通者のヒントが隠れているかもしれません」
「そんな大層なもんじゃないけど」と前置き「内通者らしき人間はみなかったな」と答えた。
「そう言う事じゃなくて、感想を聞きたいんですっ。怪しいとか怪しくないとか」
「怪しい事は、怪しいよ。ただ、会社ではそんな動きは何一つ見せなかったな」
「そうですか。じゃあ、内通者を追うのは難しそうですね」
「内通者どころか、呉井を追うのも難しいと思うぞ」
「そんな事言っていたら、事件は解決しません」
「そだね~」
「そだね~ じゃなくて」
「なぁ、道祖さんと響生さんの事件現場に行きたいんだけど」
「何でですか?」
「気になるから」
「そんな理由では行けません!」
「行くったら、行くの」まるで、子供みたいにぐずりだすコウキ。
「行って何になるんですか?」
「何かにはなるから、ね?」
結局、コウキに言い包められたナオは事件現場に向かった。




