見映-3
コウキはするすると二次面接に合格し、晴れて呉井の経営する会社へ潜入することができた。
「本日から皆さんの仲間になります。アタミです」
コウキは自己紹介すると、拍手が送られる。
「ということで、本日から勤務してもらうことになったから宜しく」
呉井は社員たちにそう告げ、自分の仕事に戻った。
「では、こちらに」
コウキは上司となる鴨沢に案内され、自分が働くフロアへと移動する。
「うちはフリースペースですので、好きな席に使ってください」
「はい」
コウキは空いている机に腰掛け、支給されたノートパソコンの設定を始める。
米津玄師のPLAZMAを口ずさみながら、設定をしていると「アタミさん」と同僚の社員から声を掛けられた。
「はいっ」
「それ、終わってからで良いので、この資料のデータ入力をお願いできますか?」
「はいっ。分かりました。お任せください」とコウキは大急ぎで設定を終えて、データ入力を開始した。
データの量はかなり多く、終わったのは終業間際であった。
「ふぅ~ 終わったぁ~」首をゴキゴキと鳴らしながら、コウキは疲れた身体をほぐす。
「お疲れ様。はい、これ。どうぞ」と作業を依頼した同僚がコーヒーとお菓子を差し出してきた。
「ありがとうございます」
「終わったデータファイルをサーバーに移しといて」
「了解しました」
コウキは指示に従い、作業を行った。
「歓迎会、開こうかなと思うんですけど、行きますか?」
「是非」とコウキは笑顔で答える。
こうして、終業時刻を向かえコウキは同僚達と居酒屋へ場所を移した。
「では、アタミさんの入社を歓迎しまして、乾杯っ!!」
乾杯の温度を取る社員に合わせて「かんぱぁ~い!!!」とグラスを交わす社員たち。
「いやぁ~ ありがとうございます。こんな歓迎会を開いてもらえるとは思っていなかったものですから」コウキは恐縮する。
「いや、新しい仲間が増えるのは良い事ですからね。これから宜しく」そう言うのは、同僚の道祖である。
「アタミさんの前職は何ですか?」
「中小企業の経理です」と答えるコウキ。勿論、ウソである。
「へぇ~ 経理ですかぁ~」そう言うのは、山戸という社員である。
「アタミさんは私生活どんな感じなのか見えないなぁ~」
「そうですか?結構、見えると思うんだけどなぁ~」と照れくさそうに答えるコウキ。
「この道祖さんは、プライベートではクレー射撃の名手なんですよ」
「クレー射撃ですかっ!凄いですね」コウキは感心する。
「そういう、山戸さんは、ダーツが上手いんだから」
「俺もダーツ得意なんですよ」
「え~ 本当にぃ~ いっちょ、勝負しに行きますかっ!!!」
斯くして、コウキと山戸、道祖の三人はダーツバーに移動した。




