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暴動-18

 それから膠着状態が近づき、午後11時を回ろうとしていた。


「いつまで、こんな事続ける気?」ナオは静かに怒りながら、春川に尋ねる。


「もう終わりますよ。あ、充電がない」とスマホの充電が残り10%となっていた。


「携帯充電器ないの?」コウキは吞気な質問をする。


「ありませんね。しまったなぁ~」


「そこの近くに公衆電話があるぜ」


「え? 使ったことないなぁ~」


「使い方教えるから。通話続けようぜ」


「コウキさん」


「まぁ、良いから。良いから」


 公衆電話のボックスに移動した春川はコウキからの指示に従い、公衆電話から彼女のスマホに電話をかけた。そのタイミングでスマホの電源は落ちた。


「良かった。間一髪でした」


「そうか。なら、良かった」


 何も良くないと思うナオは二人の会話に耳を傾ける。


「今、何時ですか? スマホで時間見るの忘れてしまって」


「今、午後10時を回ったところだ」


「10時か。よしっ、あと一時間楽しみですね」


「ああ、楽しみだな」


 コウキの真意が読めずナオは戸惑う。


 そして、時計が11時50分を指した頃、この膠着状態に動きがあった。


 慣れない公衆電話での通話で少し疲れが出てきたのか、春川に隙が生まれる。


 その隙を見逃さなかったコウキは、こう告げた。


「あ、パトロールの覆面パトカーだ。今時の若いもんが公衆電話を使っていたら職質にあうだろうな」


「え?」春川は覆面パトカーを探し始めたその時を狙って、コウキは爆弾を拾い上げ天に向かって投げた。


 爆弾は綺麗な弧を描き、近くの川に落ちたと同時に爆発した。


「汚いぞ!!」


 そんな言葉に答える事なくコウキは飛び出していき、ナオもそれに続く。


 大慌てでバイクに跨る春川は、バイクを急発進させコウキをひき殺そうとするが、

 コウキは間一髪で避けながらガス銃をバイクのタイヤ目掛けて撃つ。


 タイヤはバーストし、横転する。


 春川は血相を欠いた顔で走って逃げる。その間にも銃をコウキとナオに向かって撃つが命中しない。


「クソっ!」フェンスに追い詰められた春川はひたすら銃を撃つ。


 だが、命中しない。


「おい、どうした? 当たらんぞ」と煽るコウキ。


「来るなっ! 来るなっ!!」


「撃っちゃだめ!!」ナオはそう言う。それは何故か、残り1分で彼は未成年者でなくなるからだ。


「もうお前を守ってくれるものはそれだけだぞ! 撃てよ!!!」コウキは更に煽る。


「ク、クソっ!!!」銃をまた撃つ。


 そして、時計は午前0時を回った。


 ナオはもう庇いきれないそう思ったと同時に最後の弾が発射される音が聞こえた。


 カチッカチッ 空弾が発射される音だけが響き渡る。


「どうした? もう終わりか」コウキはガス銃を構えながら近づき、「や、やめろ。う、撃つな!!」と懇願する春川に向かって引き金を引くがカチッという音だけが鳴る。


「子供いじめるのはやめてくださいよ・・・・・・」間一髪、被弾せずに済んだ春川は声を震わせながらコウキに言う。


「残念だが、君はもう未成年じゃない」


 コウキはそう言いながら、腕時計を見せる。


 時間は0時5分を指していた。その瞬間、春川の顔から血が引き絶叫が木霊するのだった。


 それから数日後・・・・・・


「ナオちゃんは優しいのね。未成年の時間に撃ち尽くしたって事にしてるじゃん」


 そう報告書を読むコウキはナオに告げた。


「そうですか。私はやるべきことをやった。それだけですけどね」とまんざらでもなさそうなナオ。


「やるべき事ねぇ~甘いんじゃない?」


「そうかもですけど。彼、反省してますから。ま、このぐらいの飴は許容範囲かと」


「ま、俺には関係ないことだし」


「本当に無責任ですよね?」


「無責任。無責任ね。俺、だぁ~い好きな言葉だよ」


「はぁ~」と深いため息をつくナオ。


「あ、出てきた」


 コウキのその言葉と共に、調査対象がマンションから出てきた。


「行きましょう!!」


 二人はまた協力して捜査に繰り出すのであった。


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