暴動-16
女子生徒の家は学校から車で5分の場所にあった。
コウキがインターホンを鳴らすと、当の本人である女子生徒が出てきた。話を聞きたいというと快く引き受けてくれた。
「春川君ですか? いきなり、付き合ってくださいとか言われてビックリしちゃいました」
二人にお茶を出しながら、彼女はそう告げた。
「顔見知りなの?」とコウキが聞くと彼女は首を横に振って否定する。
「顔見知りの子でもないのに、付き合ってくださいとか言われると流石にね」と彼女に同情するナオ。
すると、彼女のスマホが鳴る。
「あ、彼からですっ!!」彼女はそう言いながら、着信画面を見せる。
コウキはジェスチャーで、スピーカーモードにして通話してとお願いする。彼女もその指示に従い、スピーカーモードにしてから応答した。
「はい。もしもし・・・・・・」
「あ、今、家に刑事来てるでしょ?」
「何で分かるの?」
「分かるさ。外見てみて」
三人揃って、窓の向こうを見ると堤防に腰を下ろした春川の姿があった。
「おおっと、出てこないでね。足元見て」
出て行こうとするナオが足元を見ると、爆弾があった。
「最後の爆弾だからね」
「こ、殺す気なの?」彼女は今にも倒れそうだったのでコウキはその身体を支えながらソファーに座らせる。
「ああ、勿論。今日で18歳になる日だからね」
「18?」
「未成年者が成年者になるって事」コウキが教えるとナオは「ああ」と言って理解する。
「最後に楽しむから。ああ、それと応援とか呼ばないでくださいね。呼んだと分かった瞬間に爆発させますから」
「どうします?」
「どうするも言う事聞くしかないでしょ?」
「い、嫌だ。私、死にたくないっ!!」彼女は狼狽する。
「安心しな。死なないよ。だって、俺達は運が良いから」
「そんな励まし方ありますか?」
「え? ダメ?」
「ダメに決まっているじゃないですか」
「刑事さん達、面白いですね」
「面白いかね?」
「面白いですよ。楽しくなりそうだ」
だが、コウキは密かにナオに連絡させ、両親を帰宅させないよう指示を出す。
ナオは彼女に付き添いながら、メッセージで現状を上司に報告した。
「なぁ、君はこんな事をして楽しい訳?」
「楽しい? 楽しいですね」
「そうか。仲良くなれなさそうだな」
何を話しているんだと思うナオ。
「なぁ、長電話してても大丈夫なの?」
「大丈夫です。ここに来る前に充電をしてきましたから」
「そう」
「コウキさん、良いですか?」
「お、どうぞ」
「あなた、こんな事してただで済むと思っているの?」
「未成年ですから」
「未成年者の厳罰化されているの知らない?」
「僕は社会のダニを倒しただけ。厳罰されるいわれはありませんよ」
「ふざけているの?」
「ふざけてませんよ」
「ま、良いからゆっくりと君の活躍を聞かせてもらおうかな」
「良いですよ」春川はそこから自身が犯罪に至った経緯を話し始めた。